ダイニングチェア、と聞いて皆さんはどんな椅子を思い浮かべますか?食事をするための椅子、ただそれだけだと思っていませんか?実は、ダイニングチェアは私たちの暮らしの中心にある、とても重要な家具なんです。一日の始まりに朝食をとり、家族と語らい、時には友人を招いてパーティーをしたり、子どもが宿題をしたり、趣味の作業に没頭したり…。ダイニングスペースは、単なる食事の場所ではなく、暮らしの様々なシーンが繰り広げられる多目的な空間になっています。
そんな大切な場所で、毎日、何度も座るのがダイニングチェアです。だからこそ、デザインがおしゃれなだけで選んでしまうと、「なんだか座り心地が悪い…」「テーブルの高さと合ってないかも…」「すぐに汚れてしまった…」なんて後悔につながってしまうことも少なくありません。
この記事では、特定の商品をおすすめするのではなく、あなた自身が「我が家にとって最高のダイニングチェア」を見つけるための知識とヒントを、これでもかというほど詰め込みました。素材の種類からデザインのスタイル、人間工学に基づいた座り心地のチェックポイント、長く愛用するためのメンテナンス方法まで、ダイニングチェア選びに関するあらゆる情報を網羅しています。この記事を読み終える頃には、あなたはもうダイニングチェア選びのプロになっているはず。さあ、一緒に後悔しないダイニングチェア選びの旅に出かけましょう!
ダイニングチェア選びを始める前に知っておきたい基本の「き」
いざダイニングチェアを選ぼう!と思っても、何から手をつけていいか分からない…という方も多いのではないでしょうか。まずは、本格的な椅子選びに入る前に、絶対に押さえておきたい基本的なポイントを4つご紹介します。ここをしっかり押さえるだけで、その後の椅子選びがぐっとスムーズになりますよ。
あなたの暮らしに寄り添う椅子とは?ライフスタイルから考える
ダイニングチェア選びで最も大切なのは、「誰が、どのように使うか」を具体的にイメージすることです。あなたのライフスタイルに合わない椅子は、どんなにおしゃれでも快適とは言えません。以下のポイントを参考に、ご自身の暮らしを振り返ってみましょう。
家族構成で考える
- 小さなお子様がいるご家庭:食べこぼしや落書きは日常茶飯事。汚れがサッと拭き取れる樹脂製や合成皮革(PUレザー)の椅子が重宝します。また、角が丸いデザインや、安定感のある4本脚の椅子を選ぶと、お子様が使う上での安心感も高まります。軽量な椅子なら、お子様自身で椅子を引いたりしまったりする練習にもなりますね。
- ご年配の方がいるご家庭:立ったり座ったりする動作をサポートしてくれる肘掛け(アーム)付きの椅子が喜ばれます。アームに手をかけることで、足腰への負担を軽減できます。また、重すぎず、安定感のある椅子がおすすめです。
- 一人暮らし・二人暮らし:来客の頻度や部屋の広さを考慮しましょう。普段はコンパクトに、来客時には数を増やせるように、スタッキング(積み重ね)できる椅子や、デザインの異なる椅子をあえて組み合わせるのもおしゃれです。ダイニングだけでなく、デスクワークや読書など、様々な用途で使うことも想定して選ぶと良いでしょう。
ダイニングでの過ごし方で考える
- 食事の時間が中心のご家庭:食事中の正しい姿勢を保ちやすい、背もたれが直角に近いデザインや、沈み込みすぎない座面の椅子が向いています。食事の時間は比較的短いので、デザイン性を重視して選ぶのも一つの手です。
- 食後もダイニングでゆっくり過ごしたいご家庭:テレビを見たり、お茶を飲んだり、長時間座ることが多いなら、座り心地が最優先です。背もたれが緩やかにカーブしていたり、クッション性が高かったり、体を優しく包み込んでくれるようなデザインが良いでしょう。肘掛け付きの椅子なら、さらにリラックスできます。
- デスクワークや勉強にも使う場合:作業に集中できるかどうかがポイント。背筋を伸ばしやすく、肘掛けがデスクの天板に当たらないかどうかもチェックが必要です。長時間座っても疲れにくい、適度な硬さの座面を選びましょう。
テーブルと椅子の素敵な関係|高さとデザインの黄金比
ダイニングチェアは単体で使うものではなく、必ずダイニングテーブルとセットで使います。この二つの相性が、ダイニング全体の印象と使い心地を大きく左右するのです。
座り心地を決める「差尺(さじゃく)」
差尺とは、テーブルの天板の高さと、椅子の座面の高さの差のことです。この差尺が適切でないと、食事がしにくかったり、肩が凝ったり、足が疲れたりする原因になります。一般的に、理想的な差尺は27cm~30cmと言われています。これは、日本人の平均的な体型に基づいた目安です。
例えば、高さ72cmのテーブルなら、座面の高さが42cm~45cmの椅子が適合する、という計算になります。もちろん、これはあくまで目安。ご自身の身長や体格、好みの座り方によって微調整が必要です。実際に座ってみて、以下の点を確認してみましょう。
- テーブルに腕を置いたとき、肘が自然に90度くらいに曲がるか。
- 椅子に深く腰掛けたとき、足の裏全体がしっかりと床につくか。
- 太ももの裏が圧迫されていないか。
もし、お手持ちのテーブルに合わせる椅子を探しているなら、必ずテーブルの高さを測ってからお店に行きましょう。デザインが気に入っても、差尺が合わなければ快適なダイニングにはなりません。
デザインの調和と「あえて」の組み合わせ
テーブルと椅子のデザインを合わせるのが、コーディネートの基本です。同じ素材、同じ色、同じテイストで揃えれば、統一感のある美しいダイニング空間が生まれます。特に、インテリアに自信がない方や、すっきりとした印象にしたい方にはおすすめの方法です。
一方で、上級テクニックとして「あえて違うデザインの椅子を組み合わせる」という方法もあります。これは「ミックスアンドマッチ」と呼ばれ、空間に個性とリズムを生み出します。
- すべて違うデザインの椅子を置く:難易度は高いですが、成功すれば非常におしゃれな空間になります。ポイントは、素材(木製で統一)、色(カラートーンを合わせる)、あるいはデザインの時代(ミッドセンチュリーで統一)など、何か一つ共通のルールを設けることです。
- 2種類の椅子を交互に置く:例えば、アームチェアとアームレスチェアを交互に配置したり、同じデザインで色違いのものを置いたりする方法です。手軽に変化をつけられます。
- ベンチを取り入れる:片側をベンチにすると、空間に抜け感が生まれます。お子様がいるご家庭では、詰めて座れるので便利ですし、来客時にも対応しやすいというメリットがあります。
あなたの体を支えるパートナー|座り心地のチェックポイント
デザインや素材も大切ですが、最終的に満足度を左右するのは、やはり「座り心地」です。ここでは、人間工学的な視点から、快適な座り心地を見極めるための具体的なチェックポイントを解説します。
座面の高さ
前述の「差尺」とも関連しますが、単体で座った時の座面の高さも重要です。理想は、深く腰掛けたときに、かかとまで足の裏全体が床にぴったりとつく高さです。膝の角度が90度、あるいはそれより少し開くくらいが目安です。座面が高すぎると、太ももの裏が圧迫されて血行が悪くなったり、足がぶらぶらして落ち着かなかったりします。逆に低すぎると、立ち上がる時に膝や腰に負担がかかります。
座面の奥行きと幅
奥行きは、深く腰掛けたときに、膝の裏側に指が2~3本入るくらいの隙間ができるのが理想です。奥行きが深すぎると、背もたれに体を預けるために浅く座ることになり、姿勢が崩れやすくなります。また、膝裏が座面の先端に当たって圧迫感を感じることも。逆に浅すぎると、お尻を支える面積が小さくなり、安定感に欠けてしまいます。
幅は、自分の体格に対して窮屈でないかを確認しましょう。左右に少し余裕があるくらいがリラックスできます。特に、アームチェアの場合は、アームの内側の幅が重要です。冬に厚着をすることも考慮して、少しゆとりのあるサイズを選ぶと良いでしょう。
背もたれの角度と高さ
背もたれは、食事中の姿勢をサポートし、くつろぐときには体を預ける大切なパーツです。背骨の自然なS字カーブに沿うように、少し後ろに傾斜しているものが、長時間座っても疲れにくいとされています。また、腰をしっかりと支えてくれるデザイン(ランバーサポート)になっていると、さらに快適性が増します。
背もたれの高さ(ハイバックかローバックか)は、好みと用途で選びます。
- ハイバック:肩や首までしっかりと体を預けられるので、食後にくつろぐことが多い方におすすめです。安心感がありますが、空間に圧迫感を与えやすいという側面もあります。
- ローバック:腰あたりまでの高さで、空間をすっきりと見せる効果があります。体を動かしやすく、配膳などもしやすいですが、リラックス度ではハイバックに劣ります。
何脚必要?ダイニングの広さと使い方から考える
最後に、ダイニングチェアを何脚揃えるか考えましょう。基本的には「使う人数分」ですが、ダイニングスペースの広さや来客の頻度も考慮に入れると、より良い選択ができます。
基本は「1人あたり幅60cm」
人が快適に食事をするために必要なスペースは、1人あたり幅60cm、奥行き40cmと言われています。例えば、幅180cmのテーブルなら、片側に3人並べますが、少しゆとりを持たせるなら2脚ずつ配置するのが快適です。
椅子をテーブルにしまった状態だけでなく、椅子を引いて人が座り、その後ろを人が通れるかも重要なポイントです。椅子を引いたときのスペースとして、最低でも60cm、人が通るには100cm~110cm程度の通路幅が必要とされています。図面などで事前にシミュレーションしてみましょう。
来客に備える?普段使いを優先する?
普段は2人暮らしでも、友人や親戚が集まることが多いなら、来客用の椅子をどうするか考えておく必要があります。
- スタッキングチェア:普段は重ねて収納しておき、必要な時だけ出すことができます。省スペースで来客に対応できる賢い選択です。
- 折りたたみ椅子:スタッキングチェアよりもさらにコンパクトに収納できます。デザイン性の高いものも増えています。
- ベンチ:詰めて座れば、普段は2人用のスペースに3人座ることも可能です。柔軟な使い方ができます。
- スツール:背もたれがない分、圧迫感がなく、サイドテーブルのように使うこともできます。来客時の補助椅子として便利です。
無理に人数分の椅子を揃えるのではなく、こうしたアイテムを組み合わせることで、普段はすっきりと、来客時は柔軟に対応できるダイニングが実現します。
知れば知るほど面白い!素材から選ぶダイニングチェアの世界
ダイニングチェアの印象や座り心地、耐久性を決める大きな要素が「素材」です。それぞれの素材が持つ特徴を知ることで、あなたの理想とするダイニング空間にぴったりの一脚が見つかります。ここでは、代表的な素材を深掘りして、その魅力と選ぶ際の注意点をご紹介します。
温もりの王様「木製」チェアの奥深い魅力
ダイニングチェアの素材として、最もポピュラーで人気が高いのが「木」です。天然素材ならではの温かみのある風合い、滑らかな手触り、そして使い込むほどに味わいが増す経年変化は、何物にも代えがたい魅力です。一口に木製と言っても、使われる木の種類によって色味や木目、硬さなどが大きく異なります。
代表的な木材の種類と特徴
ここでは、家具によく使われる代表的な木材をいくつか見ていきましょう。
| 木材の種類 | 特徴 |
| オーク(ナラ) | 硬く重厚で、耐久性に優れています。はっきりとした力強い木目が特徴で、ナチュラル、モダン、インダストリアルなど幅広いスタイルに合います。虎の斑紋のような「虎斑(とらふ)」と呼ばれる模様が現れることもあり、高級感があります。 |
| ウォールナット | チーク、マホガニーと並ぶ世界三大銘木の一つ。深みのある落ち着いたブラウンの色合いと、流れるような美しい木目が特徴です。衝撃に強く、高級家具や楽器にも使われます。シックでモダン、ミッドセンチュリーな空間によく似合います。 |
| アッシュ(タモ) | オークに似た、はっきりとした美しい木目が特徴ですが、オークよりも少し明るい色合いです。弾力性があり、衝撃に強いことから、野球のバットなどにも使われます。ナチュラルで明るい雰囲気のインテリアにぴったりです。 |
| ビーチ(ブナ) | 木目がきめ細かく、すべすべとした肌触りが特徴です。色は淡いピンクがかった乳白色。粘りがあり、曲げ加工に適しているため、曲線的なデザインの椅子によく用いられます。北欧デザインの椅子に多く見られる木材です。 |
| チェリー | 緻密で滑らかな木肌を持ち、使い込むほどに赤みの強い美しい飴色に変化していくのが最大の魅力です。経年変化を楽しみたい方には特におすすめです。最初は淡いピンク色をしていますが、数年で大きく色が変わります。 |
| パイン(松) | 柔らかく加工がしやすいため、比較的安価な家具に多く使われます。明るい黄白色で、節が多いのが特徴。カントリー調やナチュラルスタイルの家具によく見られます。柔らかいため傷がつきやすいですが、それも味わいとして楽しめます。 |
木製チェアのメリット・デメリット
- メリット:天然素材の温かみがある。どんなインテリアにも合わせやすい。使い込むほどに味が出る。丈夫で長持ちする。
- デメリット:重量があるものが多い。乾燥や湿度の変化に弱い場合がある。無垢材か突板かなど、仕様によって価格や性質が大きく異なる。
知っておきたい!無垢材と突板の違い
木製家具を検討する上で、「無垢材」と「突板(つきいた)」という言葉をよく目にします。無垢材は、丸太から切り出した木材そのものを加工したものです。本物の木の質感、重厚感、経年変化を存分に楽しめますが、価格は高価になりがちで、反りや割れが生じる可能性もあります。一方、突板は、木材を薄くスライスしたものを、合板などの基材に貼り付けたものです。無垢材のような美しい木目を楽しめつつ、価格を抑えられ、反りや割れが起きにくいというメリットがあります。どちらが良い悪いではなく、それぞれの特徴を理解して選ぶことが大切です。
スタイリッシュでクール「金属製」チェア
シャープでモダンな印象を与える金属製のチェア。インダストリアルスタイルやモダンスタイルなど、都会的なインテリアと相性抜群です。木材とは全く異なる質感で、空間のアクセントとしても活躍します。
主な金属の種類
- スチール:鉄を主成分とする合金で、強度が高く、比較的安価なため、様々なデザインの椅子に使われます。クロームメッキで仕上げて輝きを持たせたり、粉体塗装(パウダーコーティング)で様々な色をつけたりと、表面の仕上げ方も多様です。サビやすいという性質があるため、屋内での使用が基本です。
- ステンレス:スチールにクロムやニッケルを加えて、サビにくくした合金です。キッチン用品にも使われるように、耐久性、耐水性に優れています。光沢のあるシャープな質感が特徴で、ミニマルでクリーンな印象を与えます。
- アルミニウム:非常に軽量で、加工しやすいのが特徴です。サビにも強いため、屋外用の家具にもよく使われます。軽やかな印象で、持ち運びも楽です。
金属製チェアのメリット・デメリット
- メリット:丈夫で壊れにくい。シャープでモダンなデザインが多い。細いフレームでも強度を保てるため、繊細なデザインが可能。
- デメリット:冬場は座面が冷たく感じられることがある(クッションなどで対策可能)。素材によっては重いものがある。傷がつくと目立ちやすい場合がある。
軽やかで個性的「プラスチック・樹脂製」チェア
成形しやすく、自由なデザインと豊かなカラーバリエーションが魅力のプラスチック・樹脂製のチェア。有名デザイナーが手掛けたアイコニックな椅子も多く、インテリアの主役にもなれる存在です。軽くて扱いやすいのも嬉しいポイント。
素材の種類と特徴
- ポリプロピレン(PP):最も一般的に使われるプラスチックの一種。軽量で耐久性があり、耐薬品性にも優れています。発色が良く、カラーバリエーションが豊富です。比較的安価なのも魅力。
- ポリカーボネート(PC):非常に高い透明度と、ガラスの数百倍ともいわれる優れた耐衝撃性が特徴です。透明な「ゴーストチェア」のようなデザインを可能にします。紫外線に弱いという性質もあります。
- FRP(繊維強化プラスチック):ガラス繊維などで強化したプラスチック。非常に強度が高く、複雑な曲面を一体で成形できます。ミッドセンチュリーを代表する有名な椅子にも使われている素材です。
プラスチック製チェアのメリット・デメリット
- メリット:軽量で持ち運びが楽。水や汚れに強く、手入れが簡単。豊富なカラーとデザインから選べる。スタッキングできるものが多い。
- デメリット:静電気が発生しやすく、ホコリを吸着しやすいことがある。長期間紫外線に当たると、変色や劣化が起こる場合がある。高級感では天然素材に劣る場合がある。
座り心地と表情を決める「張地」
椅子の座面や背もたれに使われる「張地(はりじ)」は、直接肌に触れる部分であり、座り心地と見た目の印象を大きく左右します。本体が同じデザインの椅子でも、張地が違うだけで全く別の椅子に見えるほどです。
ファブリック(布)
温かみのある優しい肌触りが魅力のファブリック。通気性が良く、冬はひんやりせず、夏は蒸れにくいのが特徴です。色や柄、織り方のバリエーションが非常に豊富で、インテリアに合わせて様々な表情を選べます。カバーリングタイプなら、汚れた時にカバーを外して洗濯(ドライクリーニングが一般的)できるので、清潔に保てます。
- メリット:肌触りが良い。カラーやデザインが豊富。温かみのある印象を与える。カバーリングなら手入れがしやすい。
- デメリット:汚れやシミがつきやすく、一度つくと落ちにくい。ホコリやダニが気になる場合がある。摩擦による毛玉や擦り切れが起こることがある。
レザー(本革)
動物の皮をなめして作られる天然素材。独特の風合いと重厚な存在感があり、使い込むほどに体に馴染み、色艶が深まる経年変化を楽しめます。耐久性が高く、適切に手入れをすれば非常に長く使うことができます。吸湿性、通気性にも優れています。
- メリット:高級感がある。耐久性が高い。使い込むほどに味わいが増す。
- デメリット:価格が高い。水や乾燥に弱く、定期的なメンテナンスが必要。夏場は肌に張り付く感じがすることがある。
合成皮革(ソフトレザー、PU、PVC)
布地の上に合成樹脂を塗り、革のような質感を出した人工素材です。主にPU(ポリウレタン)レザーとPVC(ポリ塩化ビニル)レザーがあります。PUはより本革に近い柔らかな質感で、PVCは硬めで耐久性が高いのが特徴です。水や汚れに強く、手入れが非常に簡単なのが最大のメリットです。価格も本革に比べて手頃です。
- メリット:価格が手頃。水や汚れに強く、手入れが楽。カラーバリエーションが豊富。
- デメリット:本革に比べて通気性が劣り、蒸れやすい。経年で表面がひび割れたり、剥がれたりすることがある(加水分解)。
どんな部屋にしたい?デザイン・スタイルから選ぶダイニングチェア
素材と並んで、ダイニングチェア選びの大きな楽しみが「デザイン」です。どんなデザインの椅子を選ぶかで、ダイニング空間の雰囲気はがらりと変わります。ここでは、代表的なインテリアのスタイル別に、相性の良いダイニングチェアの特徴をご紹介します。また、アームの有無や背もたれの高さといった形状の違いについても見ていきましょう。
インテリアスタイル別・相性の良いチェアデザイン
あなたの目指すお部屋はどんなテイストですか?理想の空間を思い描きながら、ぴったりのデザインを探してみましょう。
北欧スタイル
「ヒュッゲ(Hygge)」という言葉に代表される、デンマークやスウェーデンなど北欧諸国の温かく居心地の良い暮らしから生まれたスタイル。冬が長く、家で過ごす時間を大切にする文化から、シンプルで飽きがこず、機能的で美しいデザインが多く生み出されました。
- 特徴:ビーチやオークなど、明るい色の木材を使ったものが中心。有機的な曲線や、軽やかで圧迫感のないデザインが特徴です。座面にペーパーコード(紙を撚った紐)を編んだものや、座り心地を考えた布張りのものも多く見られます。
- キーワード:シンプル、ナチュラル、機能美、曲線、温かみ
モダンスタイル
直線的で、装飾を排したミニマルなデザインが特徴のスタイル。無機質な素材を組み合わせ、シャープで都会的な空間を演出します。生活感を感じさせない、すっきりとしたインテリアを目指す方におすすめです。
- 特徴:スチールやステンレスなどの金属、ガラス、プラスチック、モノトーンカラーのレザーなどがよく使われます。カンチレバー(片持ち構造)の椅子など、構造的にも斬新なデザインが見られます。色はブラック、ホワイト、グレーが基本です。
- キーワード:直線、無機質、ミニマル、シャープ、モノトーン
インダストリアルスタイル
工場や倉庫のような、無骨で飾り気のない雰囲気をインテリアに取り入れたスタイル。「工業的」という意味の通り、使い込まれたようなヴィンテージ感が魅力です。
- 特徴:スチールやアイアンなどの金属と、古材のような風合いの木材を組み合わせたデザインが代表的です。溶接の跡をあえて残したり、サビ加工を施したりと、ラフな仕上げが特徴。レザーとの相性も抜群です。
- キーワード:無骨、ヴィンテージ、アイアン、古材、機能主義
ナチュラルスタイル
木や綿、麻といった自然素材をふんだんに使い、明るく優しい雰囲気にまとめたスタイル。観葉植物などを取り入れて、リラックスできる居心地の良い空間を作ります。どんな世代にも好まれる、普遍的な人気を持つスタイルです。
- 特徴:オーク、アッシュ、パインなど、明るく木目がはっきりした木材を使った椅子が中心。張地もコットンやリネンなど、天然素材のものがよく合います。シンプルで飾らない、素朴なデザインが基本です。
- キーワード:自然素材、明るい、優しい、リラックス、シンプル
ミッドセンチュリースタイル
1940年代~1960年代、主にアメリカで生まれたデザインの潮流。戦争で開発された新しい技術(成形合板やFRPなど)を家具作りに応用し、ポップな色使いと、未来的で彫刻的なフォルムが特徴の、数々の名作チェアが誕生しました。
- 特徴:プライウッド(成形合板)の曲線、FRPの一体成形、カラフルなプラスチックなど、当時の新素材・新技術を活かしたデザイン。ウォールナット材とスチールを組み合わせたものも多く見られます。遊び心があり、インテリアの主役になる椅子です。
- キーワード:曲線、ポップ、未来的、プライウッド、異素材ミックス
あるとないとで大違い!アーム(肘掛け)の有無
ダイニングチェアの形状で、使い勝手や印象を大きく変えるのがアーム(肘掛け)の有無です。それぞれのメリット・デメリットを理解して、自分の使い方に合ったものを選びましょう。
アームチェア(肘掛け付き)の魅力
アームチェアは、その名の通り、両側に肘を置くためのアームが付いた椅子です。体を預ける場所が増えるため、安定感とくつろぎ感が格段にアップします。
- メリット:腕の重さを預けられるので、長時間座っても疲れにくい。特に食後にダイニングでリラックスする時間が長い方におすすめ。立ったり座ったりする際に、アームを支えにできるため、ご年配の方にも使いやすい。椅子に深く腰掛けた、フォーマルで美しい姿勢を保ちやすい。
- デメリット:アームがない椅子に比べて、サイズが大きくなりがちで、重量も重くなる傾向がある。椅子をテーブルにしまう際、アームが天板に当たって奥まで入らないことがある(購入前にアームの高さとテーブルの幕板までの高さを要確認)。出入りする際に、一度椅子を大きく引く必要がある。
アームレスチェア(肘掛けなし)の利点
アームレスチェアは、アームが付いていない、最も一般的なタイプのダイニングチェアです。すっきりとした見た目で、様々なシーンに対応しやすいのが特徴です。
- メリット:横からでもスッと座ったり立ったりでき、出入りがスムーズ。コンパクトで圧迫感がなく、限られたスペースでも使いやすい。アームチェアに比べて軽量なものが多く、掃除の際の移動も楽。価格も比較的手頃なものが多い。
- デメリット:腕を預ける場所がないため、リラックス度ではアームチェアに劣る。長時間座っていると、姿勢が崩れやすい場合がある。
合わせ技もおすすめ
「リラックスもしたいけど、出入りのしやすさも捨てがたい…」という場合は、アームチェアとアームレスチェアを組み合わせるのも良い方法です。例えば、テーブルの両端(誕生日席)にはアームチェアを、中間の席にはアームレスチェアを配置すれば、デザインのアクセントにもなり、それぞれのメリットを活かすことができます。
印象と座り心地を左右する背もたれの高さ
背もたれの高さも、座り心地とダイニング全体の印象に影響を与えます。ハイバックとローバック、それぞれの特徴を見てみましょう。
ハイバックチェア(背もたれが高い)
背もたれが肩甲骨の上、あるいは頭のあたりまである椅子をハイバックチェアと呼びます。体をしっかりと支えてくれるため、安心感のある座り心地が魅力です。
- メリット:肩や首まで体を預けられるので、非常にリラックスできる。映画鑑賞や読書など、長時間座るのに適している。重厚感があり、フォーマルで格調高いダイニング空間を演出できる。
- デメリット:背もたれが高い分、空間に圧迫感を与えやすい。後ろに人がいると視線を遮ってしまう。重量が重くなる傾向がある。
ローバックチェア(背もたれが低い)
背もたれが腰から背中の真ん中あたりまでの高さの椅子です。一般的によく見かけるタイプで、様々なデザインがあります。
- メリット:空間を圧迫せず、ダイニング全体をすっきりと広く見せる効果がある。体を動かしやすく、振り返ったり、配膳したりする動作がしやすい。軽量なものが多く、扱いやすい。
- デメリット:体を預ける面積が少ないため、リラックス度ではハイバックに劣る。デザインによっては、長時間座ると腰が疲れる場合がある。
歴史に名を刻む名作チェアのデザイン思想に触れる
ここでは特定の商品を紹介することはしませんが、ダイニングチェアの世界には、時代を超えて愛され続ける「名作」と呼ばれる椅子が存在します。それらの椅子はなぜ評価されているのでしょうか。それは、単に美しいだけでなく、当時の新しい技術や素材への挑戦、そして人間への深い洞察に基づいた革新的なデザイン思想があるからです。ここでは、そうした名作たちの背景にあるデザインの考え方に触れてみましょう。これを知ることで、椅子を見る目が少し変わるかもしれません。
デンマークが生んだ「座り心地の科学」とクラフトマンシップ
20世紀の家具デザインを語る上で、デンマークの存在は欠かせません。数多くの優れた家具デザイナーを輩出し、彼らの作品は今なお世界中で愛されています。その根底にあるのは、「人々の日々の暮らしを豊かにするための、美しく機能的なデザイン」という考え方です。
特に有名なデザイナーの一人は、生涯で500種類以上もの椅子をデザインし、「椅子の巨匠」と呼ばれました。彼は、椅子は「座るための道具」であると同時に、「用の美」を備えた彫刻作品であるべきだと考えました。彼のデザインは、過去の様々な椅子(例えば、中国の明時代の椅子など)を徹底的に研究し、その構造をリデザインすることから生まれています。その中でも特に有名なのが、背もたれからアームまでが一体となった美しい曲線を描き、Y字の背板が印象的な椅子です。この椅子は、見た目の美しさだけでなく、座った時に背骨を優しく支え、アームに肘を置いた時の絶妙な高さなど、人間工学に基づいた緻密な計算が隠されています。また、座面にペーパーコードを手作業で編み込むなど、熟練した職人の手仕事(クラフトマンシップ)を重視しているのも特徴です。
彼の哲学は、「デザインとは、人々の生活をより良くするための、地道な改良の積み重ねである」ということを教えてくれます。
成形合板(プライウッド)がもたらした三次元曲面の革命
第二次世界大戦中、軍事目的で開発された技術が、戦後、平和利用として家具デザインに大きな革命をもたらしました。その一つが「成形合板(プライウッド)」です。薄い木の板を何枚も重ねて、圧力と熱をかけて曲げながら接着するこの技術は、それまで無垢材では不可能だった、軽くて丈夫な三次元の曲面を作り出すことを可能にしました。
この技術をいち早く家具に応用したのが、あるデンマークの建築家兼デザイナーでした。彼は、蟻の体のくびれから着想を得て、座面と背もたれが一体となった、ありえないほど薄く、くびれのあるデザインの椅子を考案します。当初は3本脚でしたが、後に安定性を増した4本脚のバージョンが発表され、世界的な大ヒットとなりました。この椅子の成功の鍵は、9枚の薄い板を重ねて作られたシェル(背座一体のパーツ)が、座る人の体の動きに合わせてしなやかにしなること。これにより、硬い素材でありながら、驚くほどの快適な座り心地が実現しました。さらに、この椅子はスタッキング(積み重ね)ができるため、公共施設やホールなどでも大量に使われ、デザイン性と機能性を見事に両立させたのです。
この成形合板の技術は、その後の家具デザインに大きな影響を与え、多くのデザイナーが追随して様々な曲面の椅子を生み出しました。技術の革新が、新しいデザインの可能性を切り拓いた好例と言えるでしょう。
プラスチックという新素材が解放した自由なフォルムと色彩
20世紀半ば、プラスチックという新しい素材が登場し、家具デザインの世界はさらなる自由を獲得します。特に、FRP(ガラス繊維強化プラスチック)は、安価に大量生産ができ、なおかつ複雑な曲面を一体で成形できるという、まさに夢のような素材でした。この可能性にいち早く着目したのが、アメリカの著名なデザイナー夫妻です。
彼らは、「最大多数の人々に、最高のものを、最低価格で」という信念のもと、FRPを使って世界で初めてプラスチックの一体成型で作られた椅子を発表しました。体を優しく包み込むような有機的なシェル形状は、それまでの椅子の概念を覆すものでした。さらに、このシェルに様々な種類の脚(木製の脚、スチールワイヤーの脚、キャスター付きの脚など)を組み合わせることで、ダイニングだけでなく、オフィスやラウンジなど、あらゆるシーンに対応できる画期的なシステムを生み出したのです。また、プラスチックならではの豊富なカラーバリエーションも、人々の暮らしに彩りを与えました。
彼らの功績は、単に新しい素材を使ったということだけではありません。「良いデザインは、一部の富裕層だけでなく、誰もが享受できるべきだ」という民主的な思想を、家具デザインを通じて実践した点にあります。この考え方は、現代のデザインにも脈々と受け継がれています。
大切な椅子と長く付き合うために|素材別メンテナンス術
お気に入りのダイニングチェアを見つけたら、できるだけ長く、美しい状態で使いたいですよね。そのためには、日頃のちょっとしたお手入れがとても大切です。ここでは、素材別に具体的なメンテナンス方法と、汚れが付いてしまった時の対処法をご紹介します。正しいお手入れで、あなたのダイニングチェアを愛情をもって育てていきましょう。
木製チェアのお手入れ
天然素材である木は、呼吸をしています。そのため、日々の環境やお手入れによって、その表情は豊かに変化していきます。仕上げの方法によってお手入れが異なるので、まずはご自宅の椅子がどのタイプか確認しましょう。
普段のお手入れ
基本は乾いた柔らかい布での乾拭きです。木目に沿って優しく拭き、ホコリや手垢を取り除きましょう。化学ぞうきんは、薬剤が塗装を傷める可能性があるので、使用は避けた方が無難です。
汚れが付いてしまったら
固く絞った布で水拭きし、その後すぐに乾いた布で水分を完全に拭き取ってください。水分が残っていると、シミや塗装の剥がれ、木の反りの原因になります。
仕上げ別の注意点
- ウレタン塗装:表面を樹脂の膜でコーティングする仕上げです。傷や水に強く、普段のお手入れは比較的楽です。ただし、深い傷がつくと自分で修復するのは難しくなります。熱いものを直接置くと、輪ジミができることがあるので注意しましょう。
- オイル仕上げ(オイルフィニッシュ):木にオイルを浸透させて、木の自然な風合いを活かす仕上げです。木の呼吸を妨げず、しっとりとした質感が魅力。傷がつきやすいですが、サンドペーパーで軽く削ってオイルを塗り直せば、ある程度修復できます。水には弱いので、濡れたものを放置しないように。半年に一度程度、専用のメンテナンスオイルを塗り込むと、乾燥を防ぎ、美しい状態を保てます。
- ソープ仕上げ(ソープフィニッシュ):石鹸水で仕上げる、北欧家具に多い方法です。木の白木に近い、最も自然な風合いを楽しめます。汚れがつきやすいですが、汚れも石鹸水で落とすことができます。定期的に石鹸水でメンテナンスすることで、表面に保護膜ができていきます。
金属製チェアのお手入れ
丈夫な金属製ですが、素材によってはサビや傷が目立つことも。ポイントを押さえてお手入れしましょう。
- 普段のお手入れ:柔らかい布での乾拭きが基本です。
- 汚れがひどい場合:薄めた中性洗剤をつけた布を固く絞って拭き、その後、水拭き、乾拭きで洗剤と水分をしっかり取り除きます。
- サビ対策:スチール製のものは湿気を嫌います。水拭きした後は、必ず乾拭きを徹底してください。小さなサビを見つけたら、目の細かいサンドペーパーやサビ取り剤で早めに除去しましょう。
- 傷の注意:特にメッキ仕上げのものは、硬いもので擦ると傷がつきやすいので注意が必要です。
プラスチック・樹脂製チェアのお手入れ
お手入れが簡単なのがプラスチック製の良いところですが、少し気をつけるだけで美しさが長持ちします。
- 普段のお手入れ:水拭きも可能ですが、静電気でホコリがつきやすいので、まずは乾拭きでホコリを落としましょう。
- 汚れの落とし方:ほとんどの汚れは、薄めた中性洗剤で落とすことができます。その後、洗剤が残らないように水拭きし、乾拭きで仕上げます。アルコールやシンナーなどの溶剤は、表面を溶かしたり変質させたりする可能性があるので絶対に使わないでください。
- 黄ばみ・変色対策:直射日光(紫外線)は、プラスチックの変色や劣化の原因になります。窓際に置く場合は、レースのカーテンを引くなどして、直射日光を避ける工夫をすると長持ちします。
張地のお手入れ
直接肌に触れる張地は、清潔に保ちたいもの。素材に合ったお手入れが重要です。
ファブリック(布)
- 普段のお手入れ:ブラシや掃除機のブラシノズルを使って、布目に沿ってホコリや髪の毛を吸い取ります。粘着式のクリーナー(コロコロ)も手軽で便利です。
- 液体をこぼした場合:すぐに乾いた布やティッシュで、こすらずに叩くようにして水分を吸い取ります。その後、ぬるま湯に浸して固く絞った布で、汚れの外側から中心に向かって叩くように拭きます。最後に乾いた布で水分を取ります。
- シミになってしまったら:布用のシミ抜き剤を使う場合は、まず目立たない場所で試してから使いましょう。カバーリングタイプなら、洗濯表示に従って洗濯またはクリーニングに出します。
レザー(本革)
- 普段のお手入れ:乾いた柔らかい布で優しく拭きます。革は乾燥を嫌うので、エアコンの風が直接当たる場所や、直射日光が当たる場所は避けましょう。
- 定期的なメンテナンス:半年に一度くらい、革専用のクリーナーで汚れを落とし、保護クリームを塗り込みます。これにより、乾燥によるひび割れを防ぎ、革に栄養と潤いを与えます。
- 水濡れは厳禁:濡れてしまったら、すぐに乾いた布で叩くように水分を吸い取り、風通しの良い日陰で自然乾燥させます。ドライヤーの熱を当てるのは絶対にやめましょう。
合成皮革
- 普段のお手入れ:乾拭き、または固く絞った布での水拭きでOKです。本革と違って、水拭きできるのが楽な点です。
- 汚れが付いた場合:薄めた中性洗剤で拭き、その後、水拭きと乾拭きで仕上げます。本革用のクリーナーやクリームは、表面のコーティングを傷める可能性があるので使わないでください。
- 劣化について:合成皮革は、空気中の水分と化学反応を起こして表面がボロボロになる「加水分解」という経年劣化が避けられません。これは素材の寿命なので、ある程度は仕方がないと割り切りましょう。高温多湿を避けることで、劣化の進行を遅らせることができます。
後悔しないために!購入前に最終チェックしたいポイント
たくさんの情報をインプットして、理想のダイニングチェアのイメージが固まってきた頃ではないでしょうか。いよいよ最終段階、購入に向けての最後のチェックポイントです。ここをしっかり押さえて、最高の一脚を我が家に迎え入れましょう。
できるなら絶対に試したい「試座」の極意
オンラインで手軽に家具が買える時代ですが、ダイニングチェアに関しては、できる限り実店舗やショールームで実際に座ってみる「試座」を強くおすすめします。写真やスペックだけでは分からない「自分の体との相性」を確認できる、最も重要なステップです。
試座するときのチェックリスト
ただ何となく座るのではなく、以下のポイントを意識してチェックしてみましょう。自宅での使い方をリアルに想像しながら試すのがコツです。
- 靴を脱いで座る:自宅では靴を履いていませんよね?必ず靴を脱いで、かかとが床につくか確認しましょう。
- テーブルと合わせて試す:可能であれば、自宅のテーブルと同じくらいの高さのテーブルと組み合わせて座らせてもらいましょう。前述の「差尺」を体感できます。
- 食事の姿勢をとってみる:少し前かがみになって、お箸やフォークを使う動作をしてみます。窮屈ではないか、テーブルとの距離感は適切か確認します。
- くつろぐ姿勢をとってみる:深く腰掛けて、背もたれに体を預けてみましょう。食後にリラックスするシーンを想像して、背中や腰のフィット感、アームの心地よさを確かめます。
- 椅子を引いてみる、動かしてみる:椅子の重さを体感します。掃除の時に毎日動かすことを考えると、自分が扱える重さかどうかも大切なポイントです。床を傷つけないか、脚の裏の処理もチェックしましょう。
- 色々な角度から眺める:座り心地だけでなく、デザインも大切です。前から、横から、後ろから、様々な角度から見て、そのフォルムの美しさを確認しましょう。特に、後ろ姿はダイニングの印象を決めます。
- 素材の手触りを確かめる:木の滑らかさ、ファブリックの温かみ、レザーのしっとり感など、素材の質感を五感で感じてみてください。
オンラインで購入する場合の注意点
近くに店舗がなかったり、オンライン限定のデザインだったりと、どうしても試座できない場合もあります。その際は、以下の点に注意して、失敗のリスクを減らしましょう。
- サイズを徹底的に確認する:横幅、奥行き、全体の高さはもちろん、「座面の高さ」「アームの高さ」は最重要項目です。自宅のテーブルの高さ(天板の上と、天板下の幕板までの高さの両方)を正確に測り、差尺が適切か、アームがテーブルの下に収まるかを必ず確認します。
- レビューを読み込む:購入者のレビューは貴重な情報源です。特に、自分と似たような身長や体格の人のレビューを参考に、「思ったより大きかった」「座面が硬く感じた」といったリアルな感想をチェックしましょう。
- 詳細な写真を確認する:様々な角度から撮影された写真や、実際に人が座っている写真を見て、サイズ感やディテールの質感を把握します。色の見え方はモニターによって異なることを念頭に置きましょう。
- 返品・交換の条件を確認する:万が一、イメージと違った場合や、家に置いてみたらサイズが合わなかった場合に備えて、返品や交換の条件を必ず事前に確認しておきます。「お客様都合の返品不可」という場合も多いので注意が必要です。
意外な落とし穴「搬入経路」の確認
素敵な椅子を選んでも、家の中に入らなければ意味がありません。特に、完成品の状態で届く椅子や、サイズの大きいアームチェアなどを購入する際は、搬入経路の確認が必須です。
- チェックする場所:玄関のドア、廊下の幅と曲がり角、階段の幅と踊り場、エレベーターの入口と内部の広さ、設置したい部屋のドアなど、椅子が通るすべての場所の幅と高さを測定します。
- 梱包サイズを確認する:商品のサイズだけでなく、ダンボールなどで梱包された状態の「梱包サイズ」を確認することが重要です。販売店に問い合わせれば教えてもらえます。
保証やアフターサービスもチェックしよう
長く使うものだからこそ、購入後のサポート体制も確認しておくと安心です。
- 保証期間と内容:通常使用の範囲内で故障した場合に、どのくらいの期間、どのような保証(無償修理や交換など)が受けられるかを確認します。構造体に対する保証期間が長く設定されていることが多いです。
- 修理やパーツ交換の可否:保証期間が過ぎた後も、有償で修理やメンテナンスを受け付けてくれるか。座面の張替えや、脚のパーツ交換などが可能かどうかも確認しておくと、より長く愛用できます。
まとめ|あなただけの最高のダイニングチェアを見つけよう
ここまで、ダイニングチェアを選ぶための様々な情報をお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか。ライフスタイルから考える基本、素材やデザインの知識、メンテナンス方法から購入前のチェックポイントまで、本当にたくさんの要素が絡み合って、一脚の椅子が作られ、選ばれていくことがお分かりいただけたかと思います。
たくさんの選択肢があって、迷ってしまうかもしれません。でも、それでいいんです。それだけ真剣に、自分の暮らしと向き合っている証拠ですから。大切なのは、カタログのスペックや流行だけで決めるのではなく、「この椅子と共に、どんな時間を過ごしたいか」を想像することです。
家族の笑顔が集まる食卓、一人で静かに過ごすティータイム、友人と語り明かす夜…。あなたの暮らしの様々なシーンに寄り添い、体を優しく受け止めてくれるパートナー。そんな、あなただけの「最高のダイニングチェア」との出会いを、心から応援しています。この記事が、そのための羅針盤となれば幸いです。

