毎日、何時間も座り続けるオフィスチェア。なんとなく選んでしまって、「なんだか体に合わないな…」「もっとちゃんと選べばよかった…」なんて後悔していませんか?
特に最近は在宅ワークも増えて、自宅の仕事環境を整える上で、オフィスチェアの重要性を感じている方も多いのではないでしょうか。
良いオフィスチェアは、あなたの体への負担を減らし、仕事の集中力を高めてくれる最高の相棒になり得ます。でも、いざ選ぼうとすると、機能はたくさんあるし、価格もピンからキリまで…。正直、何から手をつけていいか分からないですよね。
この記事は、そんなあなたのための「オフィスチェア選びの教科書」です。
特定の商品の名前やランキングは一切出てきません。宣伝もありません。その代わりに、オフィスチェアを選ぶ上で本当に大切な「考え方」と「知識」を、これでもかというくらい詰め込みました。
この記事を読み終える頃には、あなたはきっと、カタログのスペック表に惑わされることなく、自分の体と働き方に本当に合った一脚を見つけ出すための「目」と「知識」を身につけているはずです。さあ、あなただけの最高の相棒を見つける旅に出かけましょう!
オフィスチェア選びの基本|まず知っておきたい3つのステップ
「よし、オフィスチェアを探すぞ!」と意気込んで、いきなり通販サイトや家具屋さんを覗いていませんか?ちょっと待ってください!その前に、やるべきことがあります。それは、「自分を知ること」です。自分に合う一脚を見つけるための、最初の、そして最も重要な3つのステップをご紹介します。
ステップ1:自分の「体」と向き合う
オフィスチェアは、あなたの体を支える最も身近な道具です。だからこそ、自分の体のサイズを知ることが、すべての基本になります。洋服や靴を選ぶとき、自分のサイズを知らないで買う人はいませんよね?オフィスチェアもまったく同じです。
なぜ自分の体のサイズを知る必要があるの?
それは、オフィスチェアの各パーツの調整範囲が、あなたの体に合っているかを確認するためです。例えば、座面の高さ調整機能があっても、一番低くしてようやく足がつくようでは、調整範囲が合っているとは言えません。理想は、調整範囲の「真ん中」あたりで、自分にピッタリのポジションが見つかることです。そうすれば、その日の体調や気分に合わせて、微調整する余裕が生まれます。
最低限、測っておきたい体のサイズ
メジャーを用意して、実際に測ってみましょう。誰かに手伝ってもらうと、より正確に測れますよ。
- 身長:これは基本ですね。
- 座高:椅子に深く腰掛け、床から頭のてっぺんまでの高さを測ります。背もたれの大きさを選ぶ参考になります。
- 体重:チェアの耐荷重を確認するために必要です。多くのチェアは十分な耐荷重がありますが、念のため把握しておきましょう。
- 膝下の高さ:椅子に座った状態で、床から膝の裏までの高さを測ります。座面の高さを決める上で非常に重要です。
- お尻から膝裏までの長さ:椅子に深く腰掛けた状態で、お尻の一番後ろから膝の裏までの長さを測ります。座面の奥行きを決めるための重要な指標です。
- 肘の高さ:椅子に座り、腕を自然に下ろして肘を90度に曲げた時の、床から肘までの高さです。アームレストの高さを決める基準になります。
これらの数値をメモしておくだけで、オフィスチェア選びの精度が格段に上がります。少し面倒に感じるかもしれませんが、この一手間が後悔を防ぐ一番の近道です。
ステップ2:自分の「働き方・使い方」を知る
次に考えるべきは、あなたが「どのように椅子を使うか」です。人によって仕事の内容や座り方のクセは千差万別。自分のスタイルを客観的に把握することが、必要な機能を見極めるカギになります。
一日の着座時間はどれくらい?
まずは、一日に合計で何時間くらい椅子に座っているかを考えてみましょう。
- 長時間(8時間以上)座る人:体の負担を軽減するための調整機能が豊富なチェアが向いています。特に、座面の奥行き調整や、しっかりとしたランバーサポート、質の良いリクライニング機能などが重要になります。
- 短時間(4時間未満)座る人:比較的シンプルな機能のチェアでも対応できるかもしれません。ただし、短時間でも姿勢が崩れると体への負担は大きくなるため、最低限の調整機能(座面の高さ調整など)は欲しいところです。
どんな作業が多い?
あなたの主な作業内容によって、理想的な姿勢は変わってきます。
- パソコン作業が中心の人:モニターを見るために、少し後傾姿勢になることが多いかもしれません。背中をしっかりと預けられるハイバックや、リラックスできるリクライニング機能が役立ちます。また、キーボードやマウスを操作する腕を支えるアームレストも重要です。
- 書類を読んだり書いたりする作業が多い人:机に向かって前傾姿勢になることが多いでしょう。前傾チルト機能があると、前のめりになっても骨盤をサポートしてくれ、腰への負担が軽減されます。
- リラックスや休憩を挟みながら作業する人:深く倒せるリクライニング機能や、頭を支えるヘッドレストがあると、オンとオフの切り替えがしやすくなります。
あなたの座り方のクセは?
意識したことはありますか?例えば、こんなクセはありませんか?
- ついつい浅く座ってしまう
- 足を組むのがクセになっている
- 前のめりになりがち
- 背もたれに寄りかからず、背筋を伸ばして座っていることが多い
自分のクセを理解することで、「浅く座っても骨盤を支えてくれる機能が必要だな」「足を組むのをやめるために、フットレストも検討しようかな」といった、具体的な対策が見えてきます。
デスクの高さも忘れずに!
オフィスチェアは単体で存在するものではなく、机(デスク)とセットで使うものです。今使っている、あるいはこれから使う予定のデスクの高さも測っておきましょう。特に、高さが固定されているデスクの場合、チェア側で高さを合わせる必要があります。デスクの天板下に引き出しなどがあり、アームレストがぶつかってしまうケースもよくあるので、その点も確認が必要です。
ステップ3:予算と価値観を決める
最後に、お金の話です。オフィスチェアの価格は、数千円のものから数十万円するものまで、本当に幅広いです。ここでは、価格と価値について考えてみましょう。
価格帯による違いの傾向
一概には言えませんが、価格帯によって機能や素材に以下のような傾向があります。
| 価格帯(目安) | 主な特徴 |
| ~3万円 | 基本的な昇降機能が中心。素材は比較的安価なものが多く、調整機能は限定的。短時間の使用向け。 |
| 3万円~8万円 | シンクロロッキングやランバーサポート、アームレストの調整機能など、体への負担を考慮した機能が充実してくる。選択肢が最も多い価格帯。 |
| 8万円~ | 多機能・高性能モデルが中心。素材の質が高く、デザイン性にも優れる。細かな調整が可能で、メーカー独自の先進的な機能が搭載されていることも。長期保証が付くことが多い。 |
注意:これはあくまで一般的な傾向です。価格が高ければ必ずしも自分に合うとは限りませんし、安価なモデルの中にも優れたものは存在します。
「投資」としてのオフィスチェア
「椅子に10万円以上なんて…」と感じるかもしれません。しかし、少し視点を変えてみましょう。仮に15万円のチェアを買い、10年間使うとします。一日あたりのコストはいくらになるでしょうか?
150,000円 ÷ 10年 ÷ 365日 ≒ 約41円
一日あたり、缶コーヒーの1/3以下の値段です。それで、毎日の快適さや体への負担軽減、仕事の生産性向上につながる可能性があると考えれば、どうでしょうか?高価なオフィスチェアは、単なる「消費」ではなく、将来の自分の健康とパフォーマンスへの「投資」と捉えることもできるのです。
中古という選択肢のメリット・デメリット
「どうしても高機能なチェアが欲しいけど、予算が…」という場合には、中古品も選択肢の一つになります。特に、オフィス家具を専門に扱う業者から購入する場合、クリーニングやメンテナンスがしっかりされていることが多いです。
- メリット:定価よりも大幅に安く、高機能なモデルを手に入れられる可能性がある。
- デメリット:保証がなかったり、あっても短期間だったりする。前の使用者のクセがついている場合がある。傷や汚れがある。最新のモデルではない。
中古品を選ぶ際は、特に座面のヘタリや昇降機能、リクライニング機能などが正常に作動するかを、しっかりと確認することが重要です。
オフィスチェアの各パーツ徹底解説|機能と役割を理解する
オフィスチェアは、様々なパーツの集合体です。それぞれのパーツがどんな役割を持ち、どんな機能があるのかを知ることで、カタログのスペック表がただの文字列ではなく、具体的な「座り心地」としてイメージできるようになります。ここでは、主要なパーツを一つずつ分解して、詳しく見ていきましょう。
座面|体を支える土台
座面は、体重の大部分を受け止める、まさにチェアの土台です。座面の快適性が、長時間の作業を左右すると言っても過言ではありません。
座面の高さ調整(昇降機能)
これはほとんどのオフィスチェアに備わっている基本機能です。レバー操作で座面を上下させ、自分の体格や机の高さに合わせます。一般的に「ガス圧昇降式」が採用されており、スムーズな高さ調整が可能です。
チェックポイント:自分の「膝下の高さ」に合う調整範囲があるか。理想は、調整範囲の中間あたりで丁度良い高さになることです。小柄な方は、最低座面高が低いモデルを選ぶと良いでしょう。
座面の奥行き調整(スライド機能)
これは、座面を前後にスライドさせる機能です。地味に見えますが、実は非常に重要な機能です。なぜなら、太もも裏の圧迫を防ぎ、背もたれを正しく使うために不可欠だからです。
座面の奥行きが深すぎると、背もたれに深くもたれるために膝裏が座面の先端に圧迫されてしまいます。逆に浅すぎると、太もものサポートが不十分になり、お尻に体重が集中してしまいます。
理想的な奥行き:深く腰掛けた状態で、膝の裏と座面の先端の間に、指が2~3本入るくらいの隙間がある状態です。この機能があることで、大柄な人も小柄な人も、最適なポジションを見つけることができます。
座面の素材
座面の素材は、座り心地だけでなく、通気性やメンテナンス性にも大きく影響します。
- メッシュ:通気性が抜群で、夏場でも蒸れにくいのが最大の特徴です。見た目も軽やか。ただし、クッション性はウレタンに劣る傾向があり、長期間使用するとテンション(張り)が弱くなることがあります。
- クッション(ウレタン):最も一般的な素材です。適度な弾力があり、体圧を分散させやすいのが特徴。布(ファブリック)や革などで覆われています。密度や厚みによって座り心地が大きく変わります。
- ファブリック(布):温かみのある見た目と、豊富なカラーバリエーションが魅力です。肌触りも優しいですが、汚れが染み込みやすく、掃除がしにくいという側面もあります。
- レザー(本革・合成皮革):高級感があり、汚れを拭き取りやすいのがメリットです。本革は使うほどに味わいが出ますが、価格が高く、定期的なメンテナンスが必要です。合成皮革(PUレザー、PVCレザー)は比較的安価ですが、通気性が悪く、経年劣化で表面がひび割れたり剥がれたりすることがあります。
座面の硬さ(クッション性)
「柔らかい座面の方が楽そう」と思いがちですが、一概にそうとは言えません。柔らかすぎる座面は、お尻が沈み込みすぎてしまい、かえって姿勢が不安定になることがあります。逆に硬すぎると、お尻の特定の部分に圧力が集中し、痛みを感じる原因になります。
理想は、適度な硬さがあり、底つき感のないクッションです。座った瞬間の心地よさだけでなく、長時間座っても疲れにくいかどうか、という視点で選ぶことが大切です。
背もたれ|姿勢の要
背もたれは、その名の通り背中を支え、正しい姿勢を維持するための重要なパーツです。大きさや素材、サポート機能によって、座り心地は大きく変わります。
背もたれの高さ
背もたれの高さは、主に3つのタイプに分けられます。
- ハイバック:肩甲骨の上、あるいは頭までサポートしてくれる最も大きなタイプです。体を預けられる面積が広いため、特に後傾姿勢で作業する人や、リクライニングを多用してリラックスしたい人に向いています。安定感が高いのが特徴です。
- ミドルバック:肩甲骨あたりまでをサポートする、最も一般的なタイプです。執務からリラックスまで、幅広い用途に対応できます。圧迫感が少なく、オフィス空間にも馴染みやすいです。
- ローバック:腰から背中の下あたりまでをサポートする、コンパクトなタイプです。上半身の自由度が高く、振り返る動作などが多い人に向いています。省スペースですが、長時間の作業にはサポート感が物足りなく感じるかもしれません。
ランバーサポート(腰部支援)
人間の背骨は、緩やかなS字カーブを描いています。特に、腰の部分(腰椎)は前に湾曲しており、このカーブを正しくサポートすることが、腰への負担を減らす上で非常に重要です。その役割を担うのがランバーサポートです。
ランバーサポートがあることで、無意識のうちに背中が丸まってしまうのを防ぎ、骨盤が立った理想的な姿勢を維持しやすくなります。
ランバーサポートの種類:
- 固定式:背もたれ自体がS字にカーブしているタイプや、クッションが内蔵されているタイプ。調整はできませんが、多くの人の体型に合うように設計されています。
- 可動式(調整機能付き):上下の位置や、前後の出っ張り具合を調整できるタイプ。自分の腰の一番フィットする位置にピンポイントで合わせられるため、より高いサポート感が得られます。これは非常に便利な機能です。
アームレスト(肘掛け)|肩と腕の救世主
「アームレストって、なくてもいいんじゃない?」と思っている方もいるかもしれません。しかし、特に長時間パソコン作業をする人にとって、アームレストは肩こりや首こりを軽減するための重要な役割を果たします。
アームレストの必要性
人間の腕の重さは、片方だけで体重の約6%もあると言われています。体重60kgの人なら、片腕だけで約3.6kg。両腕で7kg以上にもなります。この重さを、常に肩の筋肉だけで支えているとどうなるでしょうか?当然、肩や首に大きな負担がかかります。
アームレストは、この腕の重さを支え、肩周りの筋肉をリラックスさせてくれるのです。キーボードやマウスを操作する際に、肘を適切な位置に置くことで、より自然な姿勢で作業に集中できます。
アームレストの種類(調整機能)
アームレストは、調整できる方向の数によって「◯D」と表現されます。多機能なものほど、自分の体や作業内容に細かく合わせることができます。
- 固定式:高さや向きを一切調整できないタイプです。体格に合わないと、かえって邪魔になったり、不自然な姿勢の原因になったりすることもあります。
- 1Dアームレスト:高さの調整が可能です。これが最も基本的な調整機能で、机の高さと自分の腕の高さに合わせるために、最低限欲しい機能です。
- 2Dアームレスト:高さに加えて、アームパッドが前後にスライド、または左右に回転(首振り)します。
- 3Dアームレスト:高さ、前後、左右の回転(または左右スライド)の3方向に調整できます。
- 4Dアームレスト:高さ、前後、左右のスライド、左右の回転の4方向に調整可能。最も自由度が高く、あらゆる姿勢や体格にフィットさせやすいタイプです。
机に椅子を収納する際にアームレストが邪魔になる場合は、跳ね上げ式のアームレストも便利です。
ヘッドレスト|休憩時のパートナー
ヘッドレストは、通常の後傾姿勢での作業中には、基本的に頭が触れることはありません。主な役割は、リクライニングを深く倒して休憩する際に、頭と首を支えることです。
作業の合間に数分間、ヘッドレストに頭を預けてリラックスするだけで、心身ともにリフレッシュできます。特に、一日の作業時間が長い人や、集中と弛緩のメリハリをつけたい人にとっては、非常に有効なパーツです。
ヘッドレストは、後からオプションとして取り付けられるモデルも多いので、最初はなしで使ってみて、必要に応じて追加する、という考え方もできます。
リクライニング機能|姿勢変化をサポート
ずっと同じ姿勢でいることは、体にとって大きな負担です。リクライニング機能は、作業中に無意識に行う体の動きに追従したり、意識的に姿勢を変えたりすることを助けてくれます。様々な方式があり、それぞれに特徴があります。
- ロッキング機能:背もたれに寄りかかると、バネの力で傾くシンプルな機能。背もたれと座面が一体で動くため、リクライニングさせると座面前方が持ち上がり、太もも裏が圧迫されやすいことがあります。安価なチェアに多い方式です。
- シンクロロッキング機能:背もたれと座面が、異なる角度で連動して傾く方式です。背もたれを倒すと、座面の後方が沈み込み、前方は少しだけ持ち上がるか、ほぼ水平を保ちます。これにより、リクライニングしても足が床から離れにくく、太もも裏の圧迫も少ないため、自然な姿勢を保ちやすいのが大きな特徴です。現在の高機能チェアの主流となっている方式です。
- アンクルチルトリクライニング:くるぶし(アンクル)を支点として、背もたれと座面が連動してスライドする方式。リクライニング時に体の重心移動が少なく、非常に滑らかな動きが特徴です。
- 前傾チルト機能:通常のロッキング(後傾)とは逆に、座面が前方に傾く機能です。筆記作業やノートパソコンでの作業など、前かがみになる姿勢をサポートし、骨盤が立った状態を維持しやすくします。腰への負担軽減に役立ちます。
また、リクライニングの硬さ(反発力)を調整できるか、好きな角度で固定(ロック)できるかも重要なポイントです。自分の体重に合わせて反発力を調整することで、力を入れなくても自然にもたれかかることができ、好きな角度で固定できれば、リラックスしたい時にその姿勢を保つことができます。
キャスターと脚|安定性と移動性
普段あまり意識しないかもしれませんが、キャスターや脚も、使い心地や安全性に関わる重要なパーツです。
キャスターの素材
キャスターの素材は、床の材質に合わせて選ぶことが大切です。間違った組み合わせだと、床を傷つけたり、動きが悪くなったりする原因になります。
- ナイロンキャスター:硬い素材で、カーペットのような柔らかい床材の上でスムーズに転がります。フローリングなどの硬い床で使うと、床を傷つけたり、転がりすぎて音がうるさかったりすることがあります。多くのチェアで標準装備されています。
- ウレタンキャスター(PUキャスター):ナイロンの芯の外側を、柔らかいウレタン樹脂で覆ったものです。フローリングやPタイル、石材などの硬い床材に適しています。床を傷つけにくく、滑りすぎないのが特徴です。
床の材質に合わない場合は、キャスターだけを交換することも可能です。あるいは、床を保護するためにチェアマットを敷くのも非常に有効な方法です。
脚(ベース)
チェアの脚は、主に5本脚が一般的で、安定性を確保しています。素材によって、見た目の印象や強度が異なります。
- 樹脂脚(ナイロン、ポリアミドなど):軽量でコストを抑えやすいのが特徴。多くのオフィスチェアで採用されています。
- アルミ脚(アルミダイキャストなど):強度が高く、光沢があって美しいのが特徴です。デザイン性が高く、高級感があります。その分、価格は高くなる傾向があります。
正しい座り方と調整方法|最高のパフォーマンスを引き出す
どんなに高機能なオフィスチェアを手に入れても、座り方が間違っていたり、調整が自分の体に合っていなかったりすれば、その性能は宝の持ち腐れです。ここでは、体に負担の少ない理想的な座り方と、それを実現するための具体的なチェアの調整手順を解説します。ぜひ、今座っている椅子で試してみてください!
これが理想!体に負担の少ない座り方
目指すべきは、体の一部に負担が集中せず、リラックスして、かつ集中できる姿勢です。以下の5つのポイントを意識してみましょう。
- 足の裏全体が、しっかりと床についている:これがすべての基本です。かかとが浮いていたり、つま先立ちになったりするのはNG。足元が安定することで、体全体が安定します。
- 膝の角度が90度、またはそれより少し開いている:膝が90度以上に曲がっていたり、伸び切っていたりすると、太もも裏やお尻に余計な圧力がかかります。
- 骨盤を立てて、深く腰掛ける:椅子の背もたれにお尻がつくまで深く座り、骨盤を立てることを意識します。坐骨(座った時に椅子に当たる、お尻の下の硬い骨)で座るイメージです。こうすることで、背骨が自然なS字カーブを描きやすくなります。
- 背骨が自然なS字カーブを描き、背もたれに軽く触れている:無理に胸を張る必要はありません。ランバーサポートが腰のカーブを優しく支えてくれるのを感じましょう。
- 肘の角度も90度で、肩の力は抜けている:アームレストに腕を置いた時、肩が上がったり下がったりしない自然な高さが理想です。
この姿勢を常に100%キープするのは難しいですが、「基本の姿勢」として覚えておき、疲れたらこのフォームに戻るように意識するだけでも、体への負担は大きく変わってきます。
オフィスチェア調整の黄金手順
では、具体的にチェアを調整していきましょう。調整には順番があります。以下の手順で行うと、スムーズに最適なポジションを見つけられます。
ステップ1:座面の高さを合わせる
まずは、靴を履いた状態で椅子に座り、足の裏全体が床にしっかりつく高さに座面を調整します。この時、膝の角度が90度になるのが目安です。もし机の高さが決まっている場合は、机の高さに腕を合わせた時に、足が浮いてしまわないかを確認します。もし足が浮いてしまう場合は、フットレスト(足置き台)を使って、足裏が安定するようにしましょう。
ステップ2:座面の奥行きを合わせる
次に、背もたれにお尻がつくまで深く腰掛けます。その状態で、膝の裏と座面の先端の間に、指が2~3本入る隙間ができるように、座面の奥行きを調整します。隙間がないと膝裏の血行が悪くなり、隙間が広すぎると太もものサポートが足りなくなります。座面奥行き調整機能がない場合は、クッションなどを背中に当てて調整するのも一つの手です。
ステップ3:背もたれ(ランバーサポート)の位置を合わせる
背もたれに体を預け、ランバーサポートが腰の自然なカーブ(腰椎)にフィットする位置に調整します。ちょうどベルトの高さあたりが目安です。ランバーサポートが強すぎると感じる場合は、少し弱めに調整しましょう。優しく支えられている感覚がベストです。
ステップ4:アームレストの高さを合わせる
腕を自然に下ろし、肘を90度に曲げます。その肘の高さとアームレストの高さが同じになるように調整します。アームレストが高すぎると肩がすくみ、低すぎると腕の重さが肩にかかってしまいます。キーボードを打つときに、腕の重さを預けられる高さを見つけましょう。また、アームレストの前後や左右の位置も、机にぶつからず、かつタイピングしやすい位置に調整します。
ステップ5:リクライニングの硬さを調整する
リクライニングのロックを解除し、背もたれに寄りかかってみます。「よっこいしょ」と力を入れないと倒れない場合は硬すぎ、少しもたれただけですぐに倒れてしまう場合は柔らかすぎです。軽い力で自然にもたれかかることができ、力を抜くとゆっくりと元の位置に戻ってくるくらいが適切な硬さです。これは、自分の体重に合わせて調整します。
ステップ6:ヘッドレストを調整する(ある場合)
最後に、リクライニングを倒してリラックスする姿勢になったときに、首の付け根から後頭部あたりを自然に支えてくれる位置にヘッドレストを調整します。通常の作業姿勢のときに、ヘッドレストが後頭部を前に押し出すような位置にあるのはNGです。
この手順で一度調整すれば、あとは日々の作業内容や体調に合わせて微調整するだけで、常に快適な状態を保つことができます。
試座の重要性とポイント|失敗しないための最終チェック
ここまで、オフィスチェアの知識と調整方法について学んできました。しかし、どれだけ知識を詰め込んでも、最終的にあなたの体に合うかどうかは、「実際に座ってみないとわからない」というのが結論です。洋服を試着せずに買うのが難しいように、オフィスチェアも試座なしで選ぶのは、なかなかのギャンブルです。ここでは、後悔しないための「試座」の極意をお伝えします。
なぜ試座が欠かせないのか?
スペック表の数字やレビューの言葉だけでは、決してわからないことがあります。それは、言葉で表現しきれない「感覚的なフィット感」や「座り心地」です。
- 体圧分散の感覚:座面がお尻や太ももをどのように支えてくれるか。どこかに圧力が集中していないか。
- 素材の肌触りや質感:メッシュの張り具合、ファブリックの柔らかさ、レザーの感触など。
- 操作感:レバーやダイヤルは、座ったまま自然に手が届く位置にあるか。操作はスムーズか。
- 動きの滑らかさ:リクライニングした時の動きはスムーズか。きしみ音などはないか。
これらは、実際に座り、操作してみることでしか体感できません。特に、高価なチェアになるほど、メーカー独自の思想に基づいた複雑な機能が搭載されています。その機能が本当に自分にとって心地よいものなのかを確かめるためにも、試座は絶対に欠かせないプロセスなのです。
いざ試座へ!店舗でのチェックポイント
さあ、家具店やオフィスチェア専門店に足を運んでみましょう。ただ何となく座るのではなく、以下のポイントを意識すると、試座の効果が格段にアップします。
- 服装は普段仕事で着るものに近い格好で:スーツやジャケットを着て仕事をするならその格好で。ラフな格好で仕事をするなら、それに近い服装で行きましょう。服装によって、体の動かしやすさやフィット感が変わることがあります。
- 可能であれば、いつも使っているPCやノートを持参する:実際にキーボードを打つ真似をしたり、ノートに字を書く姿勢をとったりしてみましょう。よりリアルな作業環境を再現することで、アームレストの高さや前傾姿勢のフィット感などを正確にチェックできます。
- 最低でも10分以上、じっくり座る:一瞬座っただけでは、本当の座り心地はわかりません。人間の体は、5分、10分と座り続けるうちに、だんだんと本性(?)を現してきます。少し長めに座って、お尻や腰に違和感が出ないかを確認しましょう。
- 全ての調整機能を試してみる:座面の昇降、奥行き調整、リクライニング、アームレストの調整など、そのチェアに付いている調整機能は全て試しましょう。「この機能は使わないだろう」と思っても、一度は動かしてみることで、そのチェアの作りや操作性を深く理解できます。
- 目的のチェアだけでなく、他のチェアにも座り比べる:本命のチェアがあったとしても、その前後に別の価格帯や別のタイプのチェアにも座ってみましょう。比較対象があることで、本命のチェアの長所や短所がより明確になります。「なるほど、このチェアはランバーサポートがしっかりしているな」「あっちのチェアの方がリクライニングが滑らかだな」といった発見があるはずです。
- 遠慮なく店員さんに質問する:専門店の店員さんは、オフィスチェアのプロです。調整方法がわからなければ聞きましょう。「こういう作業が多いんだけど、どういう機能がおすすめ?」と相談してみるのも良いでしょう。思わぬアドバイスがもらえるかもしれません。
試座は、あなたとチェアの「お見合い」のようなものです。焦らず、じっくりと時間をかけて、最高のパートナーを見つけてください。
オフィスチェアのメンテナンスと長く使うためのコツ
お気に入りの一脚を見つけたら、できるだけ長く、快適な状態で使いたいですよね。オフィスチェアも、車や自転車と同じように、日頃のちょっとしたお手入れや定期的なメンテナンスで、寿命が大きく変わってきます。ここでは、大切な相棒と長く付き合うためのコツをご紹介します。
日常のお手入れ|清潔を保つ
毎日使うものだからこそ、汚れは少しずつ溜まっていきます。気づいた時にサッと掃除する習慣をつけましょう。
素材別の掃除方法
- メッシュ素材:ホコリが溜まりやすいので、定期的に掃除機で吸い取るか、柔らかいブラシで払い落としましょう。軽い汚れは、水で薄めた中性洗剤をつけた布を固く絞ってから拭き、その後、水拭き、乾拭きで仕上げます。
- ファブリック(布)素材:まずは掃除機でゴミやホコリを吸い取ります。シミができてしまった場合は、布専用のクリーナーを使うか、中性洗剤を溶かしたぬるま湯に浸した布を固く絞って、叩くようにして汚れを浮かせます。ゴシゴシこすると生地を傷める原因になるので注意してください。
- レザー(本革・合成皮革):普段は乾いた柔らかい布で乾拭きします。汚れがついた場合は、固く絞った布で水拭きし、その後すぐに乾拭きして水分を残さないようにしましょう。本革の場合は、半年に一度くらい、専用のレザークリーナーや保護クリームでお手入れすると、ひび割れを防ぎ、美しい状態を保てます。
キャスター周りの掃除
キャスターには、髪の毛やホコリが絡まりやすいです。絡まったままだと動きが悪くなる原因になるので、定期的に取り除きましょう。ピンセットや古い歯ブラシなどを使うと掃除しやすいですよ。
定期的なメンテナンス|安全に使うために
数ヶ月に一度は、簡単なチェックを行いましょう。
- ネジの増し締め:使用しているうちに、各部のネジが緩んでくることがあります。特に、背もたれやアームレストの付け根などは、緩むとガタつきの原因になります。取扱説明書を確認しながら、定期的にネジが緩んでいないかをチェックし、必要であれば締め直しましょう。
- 異音のチェック:リクライニングさせたり、座面を昇降させたりした時に、「キーキー」「ギシギシ」といった異音がしないか確認しましょう。もし異音がする場合は、可動部に潤滑剤を差すことで改善される場合があります。ただし、使用する潤滑剤の種類や箇所については、メーカーの指示に従ってください。
こうした少しの手間をかけるだけで、チェアの寿命は格段に延び、いつでも最高のパフォーマンスを発揮してくれます。
保証期間とアフターサービスも要チェック
オフィスチェアを選ぶ際には、製品自体の性能だけでなく、メーカーの保証制度も非常に重要なチェックポイントです。
高機能なチェアは、長く使うことを前提に設計されており、メーカーも長期の保証をつけていることが多いです。保証期間が長いということは、それだけ製品の耐久性に自信があるという証でもあります。
保証の対象となる範囲(構造体、メカ部分、ガスシリンダー、キャスターなど)や期間はメーカーや製品によって異なりますので、購入前に必ず確認しましょう。万が一、ガスシリンダーが故障して昇降できなくなったり、キャスターが破損したりした場合でも、保証期間内であれば無償で修理や部品交換をしてもらえる可能性があります。
また、保証期間が過ぎた後でも、有償で修理や部品交換に対応してくれるか(アフターサービス)も確認しておくと、さらに安心して長く使い続けることができます。
まとめ|あなたにとっての「最高の相棒」を見つけよう
ここまで、本当に長い道のりでしたね。お疲れ様でした!
オフィスチェア選びは、単に「座るための道具」を選ぶ作業ではありません。それは、「自分自身の体と働き方を深く理解し、最高のパフォーマンスを発揮するための環境を整える」という、非常にクリエイティブで重要なプロジェクトです。
もう一度、大切なことをおさらいしましょう。
- まずは自分を知ることから。あなたの体のサイズ、働き方、そして予算。これが全ての土台です。
- 各パーツの機能と役割を理解する。スペック表の言葉の意味が分かれば、チェア選びはもっと楽しくなります。
- 正しい姿勢と調整方法をマスターする。最高の椅子も、使いこなせなければ意味がありません。
- 最後の決め手は「試座」。自分の体で、そのフィット感を確かめるプロセスを惜しまないでください。
- 手に入れた相棒は、愛情を込めてメンテナンスする。そうすれば、きっと長くあなたを支え続けてくれます。
この記事では、あえて特定の商品名を一切出しませんでした。なぜなら、「誰にとっても一番の椅子」というものは存在しないからです。大切なのは、流行りやブランド名、価格に惑わされず、「あなたにとって」最高の相棒を見つけ出すことです。
時間はかかるかもしれません。でも、焦らず、じっくりと、楽しみながら選んでみてください。ここで得た知識が、あなたのオフィスチェア選びの確かな羅針盤となり、後悔のない、満足のいく一脚に巡り会えることを、心から願っています。
あなたのデスクワークが、もっと快適で、もっと創造的なものになりますように!

