はじめに:暮らしに寄り添う「壁のあかり」
お部屋のインテリアを考えたとき、照明計画は後回しになっていませんか?「とりあえず天井にシーリングライトがあれば明るいから大丈夫」と思っている方も少なくないかもしれません。でも、実は照明ひとつでお部屋の雰囲気は劇的に変わるんです。
中でも、今回クローズアップしたいのが「壁掛け照明」。日本ではまだシーリングライトが主流ですが、欧米のホテルやおしゃれなカフェなどで、壁から優しく光を放つ照明を見かけたことがある方も多いのではないでしょうか。ブラケットライトとも呼ばれるこの照明は、空間に奥行きと陰影を生み出し、ワンランク上のインテリアを実現するための隠れたキーアイテムなんです。
「でも、壁掛け照明ってなんだかハードルが高そう…」「取り付けが大変なんじゃない?」「どんなものを選べばいいかわからない」そんな風に感じているかもしれませんね。ご安心ください!この記事では、そんな壁掛け照明の「?」を「!」に変えるべく、特定の商品は一切紹介せず、純粋な選び方のコツやおしゃれな活用術、さらには取り付けに関する注意点まで、お役立ち情報だけをギュギュっと凝縮してお届けします。
この記事を読み終える頃には、あなたもきっと壁掛け照明を自宅に取り入れたくてウズウズしているはず。さあ、あなたのお部屋をもっと素敵にする「壁のあかり」の世界を、一緒に探検してみましょう!
壁掛け照明の基礎知識:まずはココから押さえよう!
壁掛け照明の魅力を知るために、まずは「そもそもどんな照明なの?」という基本のキから見ていきましょう。他の照明との違いや、どんな種類があるのかを知ることで、自分のお部屋にどう取り入れるかのイメージが湧きやすくなりますよ。
壁掛け照明(ブラケットライト)とは?
壁掛け照明とは、その名の通り壁面に取り付けて使用する照明器具のことです。「ブラケットライト」という呼び名も一般的ですね。「ブラケット(Bracket)」には「持ち送り」や「腕木」といった意味があり、壁から腕が伸びているような形状のものが多いことから、そう呼ばれています。
天井に取り付けるシーリングライトやペンダントライトが空間全体を均一に照らす「主照明」としての役割を担うことが多いのに対し、壁掛け照明は空間の明るさを補ったり、特定の場所を照らしたり、光で空間を演出したりする「補助照明」として使われるのが一般的です。もちろん、デザインや明るさによっては主照明として使えるものもありますが、基本的には「名脇役」として、お部屋のムード作りを一手に引き受ける存在だと考えておくと分かりやすいでしょう。
他の照明器具との違いって?
世の中にはいろいろな照明がありますよね。壁掛け照明が他の照明とどう違うのか、それぞれの特徴と比べてみましょう。
- シーリングライトとの違い:天井に直接取り付けて、部屋全体を明るくするのが得意なのがシーリングライト。壁掛け照明は壁という低い位置から照らすため、光に方向性が生まれ、空間に立体感や陰影を作り出します。
- ペンダントライトとの違い:天井から吊り下げるペンダントライトは、デザイン性が高く、インテリアの主役にもなれる存在。食卓の上などをピンポイントで照らすのにも向いています。壁掛け照明もデザイン性は高いですが、壁面を飾るという側面が強く、空間のアクセントとして機能します。
- ダウンライトとの違い:天井に埋め込むダウンライトは、器具の存在感を消してスッキリと見せたい場合に適しています。壁掛け照明は、器具自体のデザインも楽しむ「見せる照明」である点が大きな違いです。
- フロアライトやテーブルライトとの違い:床やテーブルに置くこれらの照明は、移動が自由なのが最大のメリット。一方、壁掛け照明は一度設置すると動かせませんが、その分、床や家具の上のスペースを占有しないという利点があります。
このように、それぞれの照明には得意なことと苦手なことがあります。壁掛け照明は、他の照明では表現しにくい「横からの光」で、空間に新たな表情を与えてくれるユニークな存在なのです。
どんな種類があるの?光の広がり方で見てみよう
壁掛け照明は、光がどのように広がるかによって、大きくいくつかのタイプに分けられます。この違いを知っておくと、どんな雰囲気のお部屋にしたいかに合わせて選ぶことができます。
- 直接照明タイプ:光源から直接、照らしたい方向を明るくするタイプです。シェード(笠)が下向きや前向きについているものが多く、手元を照らす読書灯や、絵画などをスポット的に照らすのに向いています。光が直接目に入りやすいので、眩しさを感じない位置に設置するのがポイントです。
- 間接照明タイプ:光源が直接見えず、光を壁や天井に一度反射させて、その柔らかな反射光で周囲を照らすタイプです。シェードが上向きについていたり、壁側を向いていたりするものがこれにあたります。眩しさがなく、リラックスした雰囲気を作りたいリビングや寝室にぴったり。空間に広がりと落ち着きをもたらしてくれます。
- 全般拡散照明タイプ:ガラスや和紙、布などの光を通す素材のシェードで光源全体を覆い、あらゆる方向に光を拡散させるタイプです。空間全体をふんわりと優しい光で満たしてくれます。玄関や廊下、階段など、空間全体をほんのり明るくしたい場所におすすめです。
壁掛け照明のメリット・デメリット
どんなものにも良い面と、ちょっと注意が必要な面があります。壁掛け照明を導入する前に、メリットとデメリットの両方をしっかり把握しておきましょう。
メリットはこんなにたくさん!
- 空間に奥行きと立体感が生まれる:壁面から光が当たることで、のっぺりしがちな壁に陰影ができ、空間にメリハリと奥行きが生まれます。これが、お部屋をおしゃれに見せる最大の秘密です。
- 視線を上に誘導して部屋を広く見せる効果:人の視線は明るい場所に集まる習性があります。壁の高い位置に照明を設置すると、自然と視線が上がり、天井が高く感じられ、お部屋に開放感が生まれることがあります。
- インテリアのアクセントになる:壁掛け照明は、それ自体がアートピースのような役割も果たします。デザイン性の高いものを選べば、明かりを消している昼間でも、壁面を彩る素敵なオブジェになります。
- 足元や家具の上のスペースを取らない:壁に取り付けるため、フロアライトのように床面積を使ったり、テーブルライトのように机の上のスペースを占領したりすることがありません。限られたスペースを有効活用できるのは嬉しいポイントですね。
- 補助照明として必要な明るさをプラスできる:部屋の隅やソファの手元など、「もう少しだけ明るさが欲しいな」という場所にピンポイントで光を届けられます。
知っておきたいデメリット
- 設置に電気工事が必要な場合がある:壁の中に配線を通してスッキリと取り付ける「直接結線タイプ」は、電気工事士の資格を持つ専門家による工事が必要です。費用や手間がかかる点はデメリットと言えるでしょう。
- 一度設置すると移動が簡単ではない:壁に固定するため、フロアライトのように気軽に場所を移動させることができません。設置場所は慎重に検討する必要があります。
- 壁に穴を開ける必要がある:コンセント式であっても、本体を固定するためには壁にネジ穴などを開ける必要があります。賃貸住宅の場合は、設置前に管理会社や大家さんに確認が必要です。
- 主照明としては光量が足りないことも:多くの壁掛け照明は補助照明として設計されているため、一つだけで部屋全体の明るさを確保するのは難しい場合があります。シーリングライトなど他の照明との組み合わせが基本となります。
デメリットも理解した上で、それを上回るメリットに魅力を感じるなら、ぜひ壁掛け照明の導入を検討してみてください。次の章では、具体的な選び方のポイントを詳しく解説していきます。
失敗しない!壁掛け照明の選び方完全ガイド
「よし、壁掛け照明を付けてみよう!」と決心したら、次はいよいよ「どんなものを選ぶか」というステップです。デザインだけで選んでしまうと、「思っていたのと違った…」なんてことになりかねません。ここでは、設置場所や目的、取り付け方法など、様々な角度から失敗しないための選び方のポイントを徹底的に解説します。特定の商品名ではなく、「選ぶ基準」に焦点を当てているので、ぜひあなたの理想の照明探しの羅針盤にしてください。
ポイント1:どこに付ける?「設置場所」から考える
壁掛け照明は、設置する場所によってその役割や効果が大きく変わってきます。まずは「お部屋のどこで、どんな風に使いたいか」を具体的にイメージしてみましょう。
リビング
家族が集まったり、ゲストを迎えたりするリビングは、くつろぎの空間演出がテーマ。ソファの脇やテレビボードの上などにシンメトリー(左右対称)に配置すると、ホテルのラウンジのような落ち着きと上質感が生まれます。壁に光を当てて間接照明として使えば、夜は映画鑑賞にぴったりのムーディーな雰囲気に。壁に飾ったアートや写真を照らすアクセント照明として使うのも素敵ですね。
ダイニング
食事を楽しむダイニングでは、ペンダントライトでテーブルの上を照らすのが一般的ですが、壁掛け照明をプラスすることで、空間全体がより豊かになります。壁面のカウンターや飾り棚を照らしたり、壁自体を照らして空間の広がりを演出したり。暖色系の温かみのある光を選ぶと、料理がより美味しく見え、会話も弾むかもしれません。
寝室
一日の疲れを癒す寝室は、壁掛け照明が最も活躍する場所の一つ。ベッドの両サイドに設置すれば、手元を照らす読書灯として使えます。アームが動くタイプなら、光の向きを自由に調整できて便利です。眠りにつく前は、壁や天井を照らす間接照明として、明るさを落として使うのがおすすめ。眩しすぎない柔らかな光が、心と体をリラックスモードへと導いてくれます。調光機能(明るさを調整できる機能)付きのものが重宝します。
玄関・廊下・階段
家の顔である玄関や、移動空間である廊下・階段は、安全性とおもてなしの心を両立させたい場所。壁掛け照明は足元を優しく照らし、夜間の歩行をサポートしてくれます。特に階段は、複数の照明を等間隔に配置すると、リズミカルで美しい光の道筋が生まれます。人感センサー付きのタイプを選べば、通る時だけ自動で点灯・消灯してくれるので、消し忘れの心配もなく経済的です。お客様を最初にお迎えする場所だからこそ、デザイン性の高い照明で素敵な空間を演出したいですね。
洗面所・トイレ
洗面所では、鏡の両脇に壁掛け照明を設置するのがおすすめです。顔に影ができにくく、メイクや身支度がしやすくなります。トイレのような限られた空間では、壁掛け照明がアクセントとして効果を発揮。コンパクトながらも存在感のあるデザインを選んで、個性的な空間に仕上げるのも楽しいでしょう。ただし、これらの場所は湿気が多いので、防湿・防雨仕様のものを選ぶことが重要です。安全のためにも、デザインだけでなく仕様を必ず確認しましょう。
書斎・ワークスペース
集中して作業をする書斎やワークスペースでは、手元をしっかり照らす「タスク照明」としての役割が求められます。デスクの上の壁面に設置すれば、机の上のスペースを有効活用できます。光の向きを調整できるアーム付きのものが使いやすく、他の照明と組み合わせて、作業に必要な明るさを確保しましょう。
ポイント2:何のために付ける?「目的」から考える
場所の次は、「光で何をしたいか」という目的をはっきりさせましょう。目的によって、選ぶべき照明の光の広がり方やデザインが変わってきます。
- 空間全体をほんのり照らしたい(アンビエント照明):リビングのくつろぎのあかりや、廊下・階段の常夜灯など、空間全体に柔らかな光を行き渡らせたい場合。シェードで光源が覆われた全般拡散照明タイプや、壁や天井を照らす間接照明タイプが適しています。
- 絵やオブジェを際立たせたい(アクセント照明):お気に入りのアートや観葉植物、飾り棚などをドラマチックに照らし、視線を集めるフォーカルポイントを作りたい場合。光の方向を調整できるスポットライトのような直接照明タイプが最適です。光の当たる範囲が狭いものを選ぶと、より対象物を引き立てることができます。
- 読書や作業のために手元を明るくしたい(タスク照明):寝室での読書や、書斎での作業など、特定の場所をしっかりと明るくしたい場合。シェードが下向きで、手元をピンポイントで照らせる直接照明タイプが向いています。アームで角度や位置を調整できると、さらに使い勝手が良くなります。
ポイント3:どうやって付ける?「取り付け方法」から考える
ここが一番のハードルと感じる方も多いかもしれません。壁掛け照明の取り付け方法には、大きく分けて2つのタイプがあります。ご自宅の状況や、どこまで手間をかけられるかに合わせて選びましょう。
コンセント式(簡易取り付け)
照明器具から電源コードが伸びていて、家庭用のコンセントに差し込むだけで使えるタイプです。
メリットは、なんといっても電気工事が不要なこと。ドライバーなど基本的な工具があれば、自分で取り付けられるものがほとんどです。賃貸住宅で壁に大きな穴を開けられない場合でも、比較的気軽に導入できます。設置場所の自由度も高く、コンセントが近くにあれば好きな壁に取り付けられます。
デメリットは、壁を這う電源コードが見えてしまうこと。コードクリップなどを使ってきれいに処理することもできますが、見た目のスッキリさには欠けるかもしれません。また、コンセントの位置に設置場所が左右されるという制約もあります。
要電気工事式(直接結線)
壁の内部にある電線と照明器具を直接つなぐタイプです。
メリットは、コードが露出しないため、見た目が非常にスッキリとして美しいこと。まるで最初からそこにあったかのように、壁と一体化した設えになります。新築やリフォームのタイミングで導入するのに最適です。
デメリットは、取り付けに「電気工事士」の資格が必須であること。自分で取り付けることは法律で禁じられており、必ず専門の業者に依頼する必要があります。そのため、器具本体の価格に加えて工事費用がかかります。また、一度設置すると場所の変更は容易ではありません。
賃貸住宅にお住まいの方や、手軽に試してみたいという方は「コンセント式」、新築やリフォームを機に本格的な照明計画を立てたい方は「要電気工事式」を検討するのが一般的な流れです。
ポイント4:その他にチェックしたいこと
場所、目的、取り付け方法が決まったら、あともう少し。光の質やデザインなど、より細かい部分を見ていきましょう。
電球の種類と口金サイズ
照明器具には、使用できる電球の種類やサイズ(口金)に決まりがあります。主流は省エネで長寿命なLED電球ですが、デザインによっては昔ながらの温かみのある白熱電球やエジソンランプ(フィラメントが特徴的な電球)が似合うものもあります。また、電球の根元のネジ部分である「口金」には、E26(一般的なサイズ)やE17(小さめのサイズ)など規格があります。購入した照明器具に合う電球を間違えないように、仕様をしっかり確認しましょう。「電球付属」なのか「電球別途」なのかも要チェックです。
光の色(色温度)
光の色は、空間の雰囲気を大きく左右します。光の色は「色温度」というケルビン(K)という単位で表されます。
| 光の色 | 色温度の目安 | 特徴とおすすめの場所 |
| 電球色 | 約2700K~3000K | オレンジ色がかった温かみのある光。リラックス効果が高いとされ、リビング、寝室、ダイニングなどくつろぎたい空間に最適です。料理を美味しく見せる効果も。 |
| 温白色 | 約3500K | 電球色と白色の中間の色。落ち着きがありながらも、自然な明るさで物が見やすいのが特徴。リビングやダイニングなど、幅広い場所で使いやすいです。 |
| 白色 | 約4200K | 太陽の光に近い自然な光の色。洗面所やキッチンなど、作業をしたり、物の色を正確に見たい場所に。 |
| 昼白色 | 約5000K | 白色よりもやや青みがかった、すっきりとした明るい光。集中力を高めたい書斎や勉強部屋、オフィスなどに向いています。 |
どの色が正解ということではありません。過ごし方に合わせて、心地よいと感じる光の色を選んでみてください。最近では、一つの照明で光の色を切り替えられる「調色機能」付きのものもあります。
明るさ(ルーメン)
光の明るさは、ワット(W)ではなくルーメン(lm)という単位で表されます。数値が大きいほど明るくなります。壁掛け照明はあくまで補助照明なので、そこまで強い明るさは必要ない場合が多いです。目安として、1畳あたり100~200lm程度の明るさがあれば、補助照明としては十分な場合が多いですが、これはあくまで一般的な話。読書灯として使うならもう少し明るいもの、雰囲気づくりが目的ならもっと暗いものでも良いでしょう。明るさを調整できる「調光機能」があると、シーンに合わせて最適な光量にできるので非常に便利です。
デザイン・素材
最後に、お部屋のインテリアテイストに合わせたデザインや素材を選びましょう。機能性も大切ですが、やはり見た目はお気に入りのものを選びたいですよね。
- モダン・シンプル:直線的で無駄のないデザイン。スチールやアルミニウムなど、シャープな素材感が合います。
- ナチュラル:木やラタン、布など、自然素材を使ったもの。温かみがあり、リラックスした雰囲気になります。
- インダストリアル(工業系):工場で使われていたような、無骨でヴィンテージ感のあるデザイン。スチールや真鍮、コンクリートなどがよく使われます。
- アンティーク・クラシック:曲線的で装飾性の高いデザイン。真鍮やガラス、クリスタルなどが使われ、エレガントで華やかな印象を与えます。
- 北欧風:シンプルながらも温かみのあるデザイン。木製のパーツや、柔らかな光を通すファブリックシェードなどが特徴です。
照明を消している昼間の時間帯も、壁掛け照明はインテリアの一部です。お部屋全体のバランスを見ながら、空間のアクセントになるようなお気に入りの一品を見つけてください。
もっとおしゃれに!壁掛け照明の活用テクニック
お気に入りの壁掛け照明を見つけたら、次はその魅力を最大限に引き出す「設置の仕方」を考えてみましょう。ただポンと一つ付けるだけでも素敵ですが、ちょっとした工夫で空間の印象はがらりと変わります。ここでは、誰でも真似できる、壁掛け照明をもっとおしゃれに見せるための活用テクニックをいくつかご紹介します。
テクニック1:シンメトリー配置でつくる安定感と上質感
これは最も取り入れやすく、かつ効果絶大なテクニックです。ソファやベッド、コンソールテーブル、鏡、アートなど、お部屋の主役となる家具やアイテムを軸にして、その両脇に同じデザインの壁掛け照明を左右対称に配置します。
このシンメトリー(左右対称)配置は、空間に安定感、秩序、そしてフォーマルで格調高い雰囲気をもたらします。まるで高級ホテルの客室やラウンジのような、整然とした美しい空間を演出できるのが最大の魅力です。寝室のベッドサイドに配置すれば、実用的な読書灯としての役割も果たしながら、空間全体をクラスアップさせてくれます。リビングのソファの両脇に設置すれば、会話が弾む落ち着いたコーナースペースが生まれます。
テクニック2:アシンメトリー配置でつくるこなれ感
シンメトリーの整然とした美しさとは対照的に、あえて左右非対称に配置するのがアシンメトリーのテクニック。壁面の片側にだけ照明を設置したり、高さや種類を変えて複数配置したりすることで、空間にリズミカルな動きと遊び心が生まれます。
例えば、L字ソファの角の壁に一つだけ個性的なデザインの照明を吊るしたり、階段の壁に大きさの違う照明をランダムに見えるように配置したり。シンメトリー配置に比べて少し上級者向けに見えるかもしれませんが、「ここを照らしたい」「ここにアクセントが欲しい」という感覚に従って自由に配置してみるのがコツ。計算され尽くしていない、抜け感のあるおしゃれな雰囲気、いわゆる「こなれ感」を演出したい場合にぴったりのテクニックです。
テクニック3:複数個をリズミカルに並べて視線を誘導
廊下や階段、広い壁面など、のっぺりとしがちな長い空間には、同じデザインの壁掛け照明を等間隔に複数個並べて設置するのがおすすめです。
等間隔に並んだ光は、自然と人の視線を奥へと誘導し、空間に奥行きと広がりを感じさせてくれます。また、光がリズミカルに連続することで、単調になりがちな空間に心地よいリズムが生まれます。まるでギャラリーや美術館のような、洗練された雰囲気も演出できます。この時、照明器具自体のデザインはできるだけシンプルなものを選ぶと、ごちゃごちゃせず、光の効果がより際立ちます。
テクニック4:光を壁や天井に当てる「間接照明」として使う
壁掛け照明の醍醐味ともいえるのが、この間接照明としての使い方です。シェードが上向きや壁側を向いているタイプの照明を選び、光源が直接目に入らないように設置して、光を壁や天井にバウンス(反射)させます。
壁や天井に反射した光は、直接光に比べて非常に柔らかく、眩しさを感じさせません。空間全体がふんわりとした優しい光に包まれ、非常にリラックスした雰囲気になります。天井面を照らせば、天井が高く見えて開放感がアップ。壁面を照らせば、その素材感(塗り壁のコテ跡や、壁紙のテクスチャなど)が浮かび上がり、表情豊かな壁面を演出できます。特に寝室やリビングなど、くつろぎを重視する空間でぜひ試してほしいテクニックです。
テクニック5:「フォーカルポイント」を光でつくる
お部屋に入った時に、どこに視線が行くか意識したことはありますか?壁に飾ったお気に入りのアート、旅先で見つけたオブジェ、美しいフォルムの観葉植物など、「ここを見てほしい!」という主役(フォーカルポイント)を、壁掛け照明の光で照らし出してあげるのです。
スポットライトのように光の向きを調整できるタイプの照明なら、狙った場所にピンポイントで光を当てることができます。光を当てられたモノは、その存在感が際立ち、空間全体が引き締まります。まるで舞台の上の主役にスポットライトが当たるように、あなたのお気に入りのアイテムをドラマチックに演出してみましょう。照明を当てるだけでなく、照明器具そのものをフォーカルポイントにする、という考え方もあります。独創的で美しいデザインの壁掛け照明を選んで、壁のアートとして楽しむのも素敵です。
テクニック6:調光・調色機能をとことん活用する
もし選んだ壁掛け照明に調光機能(明るさ調整)や調色機能(光の色調整)が付いているなら、それを最大限に活用しない手はありません。一つの照明で、時間帯や気分、シーンに合わせて何通りもの表情を演出できます。
例えば、夜のリラックスタイムには、光量をぐっと落として電球色の温かい光に。友人が集まる時には、少し明るめにして温白色の心地よい光に。掃除や探し物をするときは、一番明るい昼白色の光に、といった具合です。壁掛け照明は低い位置にあるため、光の色や明るさの変化が空間の雰囲気にダイレクトに影響します。この機能を使いこなすことで、あなたの照明計画はさらに豊かなものになるでしょう。
これらのテクニックは、一つだけを取り入れるのも良いですし、複数を組み合わせることも可能です。ぜひあなたのセンスで、壁掛け照明を使った自由な空間演出を楽しんでください。
設置とメンテナンス:安全に長く使うために
理想の壁掛け照明を手に入れたら、いよいよ取り付けです。そして、長く愛用するためには日頃のお手入れも欠かせません。この章では、取り付け前に必ず確認しておきたいことや、ご自身でできるコンセント式の取り付け方の手順、そして日常のメンテナンスについて解説します。安全に関わる重要なポイントですので、しっかりと確認してください。
取り付け前に必ずチェック!3つの確認事項
「早く付けたい!」という気持ちを少し抑えて、まずは設置予定の壁の状態を確認しましょう。これを怠ると、照明がしっかり固定できなかったり、最悪の場合、落下してしまったりする危険性があります。
1. 壁の材質と強度の確認
日本の住宅で最も一般的な壁材は「石膏ボード」です。石膏ボードは比較的柔らかく、重いものを直接取り付けるのには向いていません。照明器具の重量によっては、そのままネジで留めるだけではグラグラしてしまい、地震などで落下する恐れがあります。そのため、後述する「下地」に固定するか、「ボードアンカー」という石膏ボード用の補強材を使用する必要があります。
その他、コンクリート壁や木の壁などもあります。壁を軽く叩いてみて、コンコンと軽い音がすれば石膏ボード、ゴツゴツと硬い音がすればコンクリートの可能性が高いです。材質がわからない場合は、住宅の図面を確認したり、管理会社や施工した工務店に問い合わせたりするのが確実です。
2. 壁の内部にある「下地」の有無
石膏ボードの壁の向こう側には、通常「間柱(まばしら)」や「胴縁(どうぶち)」といった木材の骨組み(下地)が通っています。この下地にネジを打ち込むことができれば、重い照明器具でもかなり頑丈に固定することができます。
下地がどこにあるかを探すには、「下地探しセンサー」という専用の道具を使うのが最も簡単で正確です。ホームセンターなどで手軽に購入できます。センサーがない場合は、壁をノックしてみて、音が詰まったように低く変わる場所を探したり、細い針を刺して手応えを確認したりする方法(シンワの「どこ太」などが有名です)もあります。照明を取り付けたい場所に都合よく下地があるとは限りませんが、まずは確認してみることが大切です。
3. 賃貸物件の場合の注意点
賃貸住宅にお住まいの場合、壁に穴を開ける行為には特に注意が必要です。退去時には「原状回復義務」があり、壁に開けたネジ穴などが修繕の対象となる可能性があります。
コンセント式の壁掛け照明を取り付けたい場合は、必ず事前に大家さんや管理会社に許可を取りましょう。「このくらいの穴なら大丈夫だろう」と自己判断するのは禁物です。最近では、ディアウォールやラブリコといった、壁や天井を傷つけずに柱を立てられるDIYパーツを活用し、そこに照明を取り付けるという方法もあります。どうしても壁に穴を開けられない場合は、そういったアイテムの活用も検討してみましょう。
DIYチャレンジ!コンセント式の取り付け方(一例)
ここでは、ご自身で取り付け可能な「コンセント式」の一般的な取り付け手順をご紹介します。※実際の取り付け方法は製品によって異なりますので、必ず付属の取扱説明書をよく読んで、その指示に従ってください。
- 準備するもの:壁掛け照明本体、付属のネジやアンカー、プラスドライバー、メジャー、鉛筆、水平器(あると便利)、下地探しセンサー(必要に応じて)
- 位置を決める:メジャーや水平器を使って、照明を取り付けたい正確な位置を壁に鉛筆で軽くマーキングします。高さや他の家具とのバランスをよく確認しましょう。
- 下地を確認する:マーキングした場所に下地があるかを確認します。下地があれば、そこに直接ネジで固定できます。
- アンカーの取り付け(下地がない場合):下地がない石膏ボードの壁に取り付ける場合は、「ボードアンカー」を使います。製品に付属していることが多いですが、別途用意が必要な場合もあります。ドリルやドライバーで壁に下穴を開け、そこにアンカーを打ち込みます。
- ベース金具の固定:照明器具の土台となるベース金具を、下地またはアンカーに向かってネジでしっかりと固定します。この時、グラつきがないかを確認してください。
- 本体の取り付け:ベース金具に照明本体を被せ、指定された方法で固定します。
- コードの処理と点灯確認:電源コードをコンセントに差し込み、スイッチを入れて無事に点灯するかを確認します。壁を這うコードは、コードクリップやモールなどを使って壁に固定すると、見た目がスッキリし、足を引っかける心配もなくなります。
電気工事が必要な場合はプロにおまかせ!
壁に配線を埋め込む「直接結線タイプ」の取り付けは、法律で「電気工事士」の資格を持つ人でなければ行ってはいけないと定められています。感電や火災の危険があるため、絶対に自分で行わないでください。
依頼先としては、地域の電気工事店や、リフォーム会社、家を建てた工務店などが挙げられます。インターネットで「地域名 電気工事」などと検索して探すこともできます。依頼する際は、複数の業者から見積もりを取る「相見積もり」をすると、費用の相場が分かりやすくなります。その際は、必ず電気工事士の資格を持っているかを確認しましょう。
日頃のお手入れで輝きをキープ
お気に入りの照明は、きれいな状態で長く使いたいもの。定期的にお手入れをしてあげましょう。
- 掃除の基本:お手入れの前には、必ず照明のスイッチを切り、コンセントを抜くか、ブレーカーを落としてください。電球が熱くなっている場合は、十分に冷めてから作業を始めましょう。
- ホコリの除去:シェードや本体に積もったホコリは、ハンディモップや柔らかい布で優しく拭き取ります。アームの関節部分など、細かい部分も忘れずに。
- 汚れの拭き取り:手垢などで汚れた場合は、水で濡らして固く絞った布で拭き、その後、乾いた布で水分を完全に拭き取ります。洗剤を使う場合は、中性洗剤を薄めて使い、目立たない場所で試してからにしましょう。シンナーやベンジンは変色や変質の原因になるので使用しないでください。
- 素材別の注意点:ガラスシェードはガラスクリーナーで、布製シェードは洋服用のブラシでホコリを払うなど、素材に合わせたお手入れを。金属部分は、強くこするとメッキが剥がれることがあるので優しく扱いましょう。
- 電球交換:電球が切れたら、照明器具の仕様に合った新しい電球と交換します。この時も必ず電源を切ってから作業してください。火傷にも十分注意しましょう。
少しの手間をかけるだけで、壁掛け照明はいつまでも美しい光でお部屋を照らし続けてくれます。ぜひ大切に扱ってあげてください。
まとめ:壁掛け照明で、あなたの暮らしに新しい光を
さて、ここまで壁掛け照明の基礎知識から選び方、おしゃれな活用術、そして設置とメンテナンスに至るまで、様々な角度からその魅力と付き合い方を探ってきました。
もしかしたら、この記事を読む前は「壁掛け照明って、なんだか自分には縁遠い特別なもの」と感じていたかもしれません。しかし、コンセント式のように意外と手軽に始められるものがあること、そして一つ取り入れるだけで、いつものお部屋がまるで違う表情を見せてくれるパワフルなアイテムであることが、お分かりいただけたのではないでしょうか。
壁掛け照明は、ただ空間を明るくするための道具ではありません。光と影を巧みに操り、空間に奥行きとリズムを生み出し、日々の暮らしのシーンを豊かに彩るパートナーです。ソファの横で読書灯としてあなたに寄り添い、廊下を歩くあなたの足元を優しく照らし、壁に飾られた思い出の写真をそっと引き立ててくれる。そんな、暮らしに溶け込む「壁のあかり」の存在は、きっとあなたの毎日を今よりもっと心地よいものにしてくれるはずです。
この記事では、あえて特定の商品をおすすめすることはしませんでした。なぜなら、あなたにとっての「最高の壁掛け照明」は、あなたのライフスタイル、あなたのお部屋、そしてあなたの「好き」という気持ちの中にこそ答えがあるからです。
今回ご紹介した選び方のポイントや活用術をヒントに、ぜひ「我が家ならどこに付けようかな?」「どんな雰囲気にしたいかな?」と、自由に想像を膨らませてみてください。そのワクワクする時間こそ、理想の空間づくりの第一歩です。
さあ、あなただけの光を見つけて、お部屋の新たな可能性の扉を開いてみませんか?

